それは遡ること10分前…ーーー



『はいっ!翔馬くんっ!!今日はこれつけて食べてみて?』


『ん。ありがと。』


あたし達はいつものように新聞を広げ、屋上で野菜スティクのみのディップパーティーを開いていました。


『どう?美味しい?』


『うん。…っていうかこれ…』


あたしは目を見開く翔馬くんを見つめながら、にっこりと微笑んだ。


『そうだよ。これねっ、この前一緒に行ったお蕎麦屋さんで食べた“蕎麦の実入りドレッシング”なんだけど…』


『うん。』


あっ…


言いかけたあたしを遮り、翔馬くんはスッとあたしの頬に触れた。


『わざわざ…買ってきてくれてありがとなっ。』


ドキっ!!


そしてボッと赤くなったあたしの頬を撫でながら、フッと笑みを零した。