side紅葉



(紅葉…紅葉)


「だれだ!」



頭の中に流れてくる女の声…



(私は…紅姫(アサキ))


紅姫?



(今は何もかんがえないで…)


どうしてだよ…お前と俺には何か関係が
あるんだろ?

何で教えてくれないんだよ!


(貴方に会えただけでもよかった…
これも采羽様のおかげだわ)



紅姫はまだ光の真ん中に立っている采羽を
見ながらそう言った。



(無理をさせてしまっているの…
だから…最後に挨拶でもと思ってね)


最後って…なんだよそれ!


くそっなんでしゃべれねぇんだよ!



(私はもうここにはいないの…だからお願い…
どうか采羽様をまもって…伏見枯捺にだけは
渡してはいけない…
どうか今度はクロウと結ばれるように…

また会いましょう…紅葉…私の愛しい我が子)





初めて感じた温もりからはどうしてか
母親なのではと思ってしまった。




目を開けると采羽が大量の汗をかきながら倒れていた。


「采羽!」



急いで駆け寄るも魘されているようだった。



こいつは何か知ってるのか?
あの人のことも…俺のことも…




     side紅葉 end