幾年の愛を



「あ、采羽っ子供達が目を覚ましたよ」


澪さんに言われすぐに近くに行くも、
私はその手を払われてしまった。
一瞬、なにが起きたのかわからなかった。


「こ、こないで!」

「ば、化け物だ」

          ドクンッ

泣きながら私に怯えている子供達は
もう二度と…あの笑顔を向けてくれることはないんだ。
今更傷つくことはないよ…
いつものことだ…中学に上がってからの
みんなと同じ…ことじゃない…


「采羽」


後ろからそう呼んでくれる優しい声に…
私は涙を我慢せずには入られなくなる。

何でなんだろうね…どうしてこんな事に
ならないといけないのかな?
子供達さえも…もう私は…必要となんて
されないんだ。

結局、どれだけ強くあろうとしても
強がろうとしても…
最後は結局こうなるんだ。
人は人を裏切る。


「…俺は裏切らないよ…」


差し出された手を握れば、
私はもうここには戻ってはこられない。
誰かに会うことも…もうない。
なら、信じられる可能性のあるこの人達に
ついていこう。

今の自分がなにをすべきでなにをやらないといけないのかを…見つけに行こう。


私はその希望でもある手を握り替えした。