幾年の愛を



ー sideクロウ ー


さっきまで抱き締めていた小さな身体…
小刻みにふるえていた身体…
それなのに…全部を独りで背負おうとしている。
昔のお前は…何でも話してくれたのにな…
この時代の采羽は何かが違うよ…


「レム、お前は采羽との接触を控えろ…
命令だ」

「俺は采羽の命令しか聞かない。
采羽を傷つけるなら例えお前等でも…
殺すぞ」


そう吐き捨てて俺は采羽の後を追っていく。
追いついてみると公園を通りがかった
采羽は悪魔に襲われそうになっていた。
俺が悪魔を斬ると采羽は驚いたように
俺のことを見ていた。

まさかくるとは思っていなかったんだろう。
別にいいが…


「采羽、大丈夫か?」

「はい…すみません。」


まただ…采羽は何故かすぐに謝ってくる。
それが今までの普通だったのだろうが
これでは自分では治せないな。


「采羽…」

「はい?」

「明日の夜は…外に出るな」

「え?」


明日の夜はヴァルプルギスの夜だ…
血に染まりし夜…悪魔が力をつける。
そんな所に采羽が出て行けば、
すぐに食われてしまう。


「わ、わかりました。明日は外には出ません」


ホッとしながら俺は采羽を見送った後
そこを離れた。



  ー side クロウ end ー