幾年の愛を



「采羽、これからは私達もいるからね」

「え?」

「間に合ったようだね」


何のことなのかを聞こうとしたとき、
後ろからついさっき
聞いた声が聞こえてきた。
私が後ろを向くとその男の人は
ただニコニコしてるだけ…


「冬吏さん」

「采羽、わかっただろ?ここは危険すぎる
一緒にすもう。私達は君の力のことを
知っている」


力という言葉に私は反応した。
ここまではっきり言うって事は
知っているってことだけど…でも…
信用していいわけない。


「君の力だ。好きに使えばいいよ。でもね
コントロールすることも知ることも
大切なんだ。だから……っ!」

  パキッン!

コントロール?知る?
そんなこと…とうの昔にやった


「なにもすることのなかった私が
唯一できるのは人を傷つけないこと…
この力のせいで誰かが傷つくなら
私はコントロールだってしてみせる…
そう思ってやったことも今になっては
無駄なことだったんですよ…」


所詮、こんなものをコントロールしても
誰もそんなことには気づきもしない。
それが人間…
気づかないようにするんだ。
自分には関係のないことだから…


「この力のせいで死ぬというなら
私はきっと喜んで死にますよ…」