人界につくと、家の中は騒がしかった

まぁ…当主が倒れればそりゃあ
騒ぎにもなるからね…



嫌々ながらも私は中に入り、
止める奴らの声すら聞かずに
グリモアの気配だけを頼りに歩いていくと
全員が集まっていた。





「失礼しまぁす」

「とっ采羽!?」



私が入ってきたことに驚いている
奴らはひとまずおいといて…



「どうしてここまでやったのか私は
分からないけど、教えてくれるかな…
『エレボス』…」



私が名前を呼ぶと冬吏の体からでてきたのは
体が透けている暗黒の神『エレボス』



どこに行ったのかと思っていたら
こんなに近くにいるなんて
思っても見なかった…




「それで…どうして貴方がそこにいるの?」

『…興味を持ちました…』

「興味?お前がか…」



エレボスは基本、誰にも興味を示さない。
ただ自分のことだけを
考えているのだと思ったけど…



『まだそちらには帰れない…こいつの
目的がはたされるまで』




目的…それはきっと友人でありパートナーであった
枯捺を自ら滅ぼすと言うことか…





「別に止めたり何てしない…
だけど、その主の身体が危ないんだ
見るぐらいはいいだろ?」


『えぇ』




私が冬吏の胸の上に手をかざすと
黒いひし形のような固まりがでてくる。


こんなにため込んでいるとは…
今まで生きてきたのが奇跡のような
物じゃない…