side采羽



天界にきてから兄さんはずっと私のことを
気遣ってくれた。



兄さんは天界では有名な神様だもん…
忙しいのは分かるけど正直に言うと
少しだけ寂しいかな…




『采羽様っ』


いきなり聞こえてきたその声は
グリモアのものだった。



『すぐこちらへ来てくださいっ冬吏が!』



こんなに焦るなんて私からしたら珍しいかな…

仕方がない…他でもないグリモアの頼みなら
行くしかないだろ



「千星、一緒に人界に来てくれる?」
「人界にですか?」
「グリモアが呼んでるの」
「っ…そうですか…」



千星は一度頷いてから千月に教えに行った。
その間に私は兄さんの所に行く、


無断で行くと後で怒られるから

(一度無断で行って説教をくらいました)



「兄さん」
「どうした采羽」
「人界に行ってくる」
「…そうか…気をつけるんだよ」
「っ、うん…」



兄さんは言わなくても分かっている。
これから私がどうするのか…
もしかすると、ここにこなくても
私が人界に行くことは分かっていたのかもしれない…




でも、そりゃあそうか…
兄妹だからっていうのもあるしね…




    ガチャ…



「采羽様」



部屋に戻ると、千月と千星が私の
着ていくものを用意していてくれた。