ふぅ…やっぱりカツラは暑い…
しかも重いし…普通の奴らよりも
余分に疲れる。

ベッドに倒れ込むと、私の薄緋色の髪が
目の前にある。

生まれつきのこの髪は、知ってる者が
少ない…ここでは園長だけだ。
他の皆に見せると気持ち悪がられるから
ずっと黙ってきている。

それでも、小さい頃は隠す事なんて
考えてすらいなかった。
母と同じ色で大好きだと言ってくれたこの髪を…否定なんてしたくなかった。

なのに…母はいなくなり、兄までもがいなくなった。
もう…この髪を褒めてくれる人なんていやしない…

そうだ…兄も母も…もういないんだ。

大人は勝手で、容姿だけでどんな奴なのか
勝手に決めつけて捨てる。
現にここの奴らは私なんか世話も
してくれないんだ。
早く…早く出て行きたい。








「ん…あれ…寝てた?」

欠伸をしながら立ち上がり、水を飲みに行こうとしたとき、
子供たちがいた。

まだ寝てなかったんだなあの子たちは…


「采羽姉!」


子供達は何も知らない…だから、
こんなに私に懐いてくれる。
でも、本当の私を知ったらきっと皆は
離れていくだろう。


水を飲んでから部屋に戻ると、携帯が光っていた。
どうやらメールのようだ。
そんな多くアドレスも番号も入れてないからな…
もしかしたら、枯捺さんかも…