魔法を使える事が偉いの?







目の前で陽菜乃が、クラスメイトが大怪我して
なんとも思わないクラスなんて

目に涙を浮かべながら、さっきの男を見る


しーーーん


あれ?そう言えばさっきからずっと黙っている

「美桜ちゃん。時間かかっちゃったけど
私、もう大丈夫だよ」

私の腕から身体を起こした陽菜乃の頭には
血も、傷跡もなかった

これが治癒魔法。凄い。

「ごめんね、陽菜乃。何度も巻き込っ…」

ぺちん

「いたっ!!!」

「もぅ。何度言えば分かってくれるの?
私は全然平気だよ?美桜ちゃんがいるもん」

私のおデコにデコピンをした後
ふわふわな可愛い笑顔でそう言ってくれた
「ありがとう。」
私は本当にいい友達を持った



ガラララッ

「立花美桜。これは一体何事だ」

入ってきたのは、ノア君だった。


「皆が、美桜ちゃんに椅子を投げたの。」
今朝の事があったからか、誰にでも優しい陽菜乃が
珍しく、ノア君を睨みつけて言った

「そう怒るな。今朝の事は悪かったと思っている
…俺が聞きたいのは、その事ではない。
佐藤の顔を見てみろ」

ノア君の目線の先には椅子を投げ、暴言を吐いた
“佐藤”と呼ばれたクラスメイトだった。


「んっ!!っっ!!!」
何か言いたげにもがいている。

「何、まだ何か言いたいの?」

「んっ!!!!!」

なんだか様子がおかしい

「なに。なんで喋らないの?」
「これは、魔法で口封じされているのか。
それも、かなりの強力な魔力だ。」
「魔法?!一体誰が…何のためにっ!!」
「美桜ちゃん。よく見て?教室中のみんなが
口封じの魔法にかかっているみたいよぉ?」
「お前達にかかっていないのも引っかかる。
何も知らないのか?不審な人物とか」

「「ううーーん」」
陽菜乃を守るのに必死で何にも考えていなかった

「んっ!!んん!!んーっ!!」
佐藤が急にうめき始めた
「佐藤、どうした?」
「んっ!」
佐藤は私を真っ直ぐに指差した。