昼食時間クラスの半分以上が別の所で食べいたが
数人がまだ教室に残っていた。

「ねぇ聞いた?あの人、今朝、暴力沙汰を…」
「2年の女子を再起不能にとか…」
「そうそう。後者も半壊させたって…」

ヒソヒソと噂する声が聞こえる
鋭い視線だけではなく噂までとは…
これは流石にこたえるなぁ

「美桜ちゃん。本当の事言おうよ」
拳を強く握りしめて肩を震わせた陽菜乃
「大丈夫。そのうちおさまるって」
私は、陽菜乃が味方でいてくれるだけで十分。


「おいおい。まだ学園辞めてないのかよ」
「良く来れるわね。劣等生のくせに」
「魔法が使えない奴が、何でいるの?」
「その上、暴力沙汰を起こたって。怖っ」

あれ?

周りで聞こえていた噂話がエスカレートし
だんだんと、キツイ内容になってくる

「先生達何かにビビってんじゃね?
俺たちで追い出してやろうよ」
「いいねー!私それ参戦〜!!」
「そんじゃ、手始めに俺が…」

ごんっ


「えっ?」

目の前に黒板消しが通り過ぎた…気がした

通り過ぎた方向へ目をやると、
壁に少しだけめり込んだ黒板消しがあった。

みんなはニヤニヤしながら私をみる


「次は当たるようにっ…」
そう言いながら持ち上げたのは椅子だった

「ちょっと。それ投げる気?」
流石にそれが当たれば大怪我するよ

「あ?お前が無視してるから悪いんだろ」
そう言い放つと、思いっきり椅子を投げてきた

物凄いスピードで私に当たった


「きゃっ」

すんでの所で私の目の前に陽菜乃が出た

「陽菜乃!何で!」
目の前でしゃがみこむ陽菜乃の頭からは
血が流れ出ていた

ドクンッ


心臓が深くなった気がした

「だって、噂の元凶は私だし…
美桜ちゃんは身体を張ってくれたじゃない」
そう笑顔で言った

急いでハンカチで頭の傷口を抑えても
ハンカチはみるみる赤く染まっていく

「七瀬さん可愛そ〜。立花さんに盾にされた」
え?この状況でまだそれが続くの?

「七瀬さんの桜組の件も何か仕組んでたりして」
「確かにあり得るわ。
入学を仕組んだ立花とグルなんだもんな」
「七瀬さんもひどーい」

え?私たち貴方に何かしましたか?
魔法が使えるのがそんなに偉いことなの?
確かに使える事が珍しい事なのは分かるけど
それが傷つけていい理由になるの?

ドクンッドクンッ

「七瀬さんも正直クラスから出てって欲しいわ」
「それな〜。じゃあマグレで当たったけど
ナイスシュート!って事でいいよな」

ドクンッドクンッ


心臓が痛い。頭に血がのぼる。理性が保てない。

「て言うか七瀬さんもさ〜?」
「だまれ」

私は何も考えず、ただ口が動いていた

「あ?何だよ」

そう言って1人の男が近づいてくる

「だいたいお前が七瀬と関わるから巻き込まれたんだよ。まぁ七瀬も、」
男の話を遮って私は叫んだ

「だまれ!」
と、思いっきり睨みつけながら

桜組になるほどの魔力を持つ
陽菜乃が、悪口を言われる理由は全く分からない