ピーンポーン

「ひーなーのーちゃーんアッソビーマショー✨」
このノリは何回やっても楽しい。

ガチャ

中から陽奈乃が笑いながら出てきた

「そのノリ飽きないよね〜」
「でしょ〜⁇陽奈乃の家に来るときの
ルーティーンなのだ‼︎」
笑いながら陽奈乃の部屋に入った

可愛い部屋。
ふわふわのウサギのぬいぐるみは
私とお揃いのものだ。
私は悪魔で陽奈乃が天使のウサギさん。
大事に飾られてて
何だか微笑ましい気分になった。

「今日から学校ないね…」
陽奈乃が悲しそうに行った
「うん。そうだね…
あ。陽奈乃!!高校の事なんだけど
どこに受かったとか聴いてもいい…?
ほら。遊びにとか行きたいし…」

陽奈乃の顔が急に暗くなった

「何かね。
関係者以外には秘密って言われたの」

ドクンっ

「えっ関係者って、そんなに凄い所?
もしかして外国とか?」

「外国ではないのかな?
一度も行った事ない所で私も詳しくは…
その高校への入学も勝手に決められて」

何だかショックな気持ちになった。
関係者と言ったのは陽奈乃じゃない。
でも、陽奈乃が凄く遠い高校に行きそうで
寂しい。

「で、でもね!
美桜と離れたいわけじゃないよ!決して!」
必死に私の腕にしがみついてきた

小柄な陽奈乃の小さな手が
私には震えているように感じた

勝手に決められた知らない高校

私なら絶対に不安と悲しみで辛い

「分かってるよ。大丈夫!
離れてたって、陽奈乃との絆は最強だよ」

私の腕を掴む小さな手に
そっと私の手を添えて言った

「あ、ありがっ。ありがどぅぅ」

「あぁ!もぅ!
こんなに泣き虫だと心配だなぁ」

ぼろぼろ泣きだす陽奈乃を慰めながら
顔をぐしゃぐしゃにして泣きじゃくる
その顔が、夢じゃなく本当に離れることを
私に強く実感させた。

元々家同士が仲良しだったから
小さい頃から一緒にいた。
性格は全然違うけど一番の理解者で
いつでも私の味方で、そばにいてくれた。

ゴロゴロゴロゴロッ

急に大きな音がした

「キャッ」
陽奈乃が驚いて跳ね上がり
その拍子にタンスにぶつかった

「陽奈乃っ大丈夫⁇」

雷だ。さっきまであんなにいい天気だったのに

陽奈乃に手を伸ばそうとした瞬間

ガッ

タンスの上にあった写真立てが落ちて

私の腕に直撃した。
血がたら〜っと出てて
私は少し固まって驚いてしまった。

「だっ大丈夫⁈」
陽奈乃が慌てて絆創膏を持ってきてくれた

「大丈夫〜」

少しジンジンして痛いかも…。
でも心配させちゃだめだ。我慢我慢。
陽奈乃が絆創膏を貼り終わると

スッ

絆創膏の上に手をかざして

「いたーいのいたーいのとんでいけ〜」

そうすると痛みが嘘のように消えていく。

昔からそうだ。いつも陽奈乃は
このおまじないをしてくれて。。。

そしていつの間にか痛みは治まって治る。

「本当に陽奈乃は魔法使いみたいだねっ」

私が笑顔で言うと

「えっあっ。あははは」

少し戸惑ったように返事をした。

コンコンコンっ

部屋に陽奈乃ママが入って来た。

「今は晴れてるけどいつまた雷が出るか分からないから美桜ちゃんは今日はもう、帰ったほうがいいかもしれないわ」

「あ。はい!ありがとうございます」

玄関から外を見上げると
雷が嘘のように太陽が顔を出している。

「じゃあ。ごめんね言えなくて…」

陽奈乃が申し訳なさそうに言う

「ううん。大丈夫‼︎突然ごめんね」

陽奈乃にバイバイをして
歩き出した…

午前中だけの外出…か…。