美桜の部屋、窓が開いている気がする

何か動いてる?こっちを見て…

「美桜…?」

美桜がそこにいた。
それだけで怒りも何もかも消えて
ただ喜びだけを感じていた。

ツーと、美桜の頬に何かが伝う

俺は、今すぐ開いたくて
小さい頃からよく使う手段で塀を登り、木を登って
美桜の部屋の前まで行った。

泣いてるのか…?何で…
何か、話しかけて元気付けて…

「おい。何勝手に学校変えてんだよ。」
「え?」

驚く美桜。俺も驚いた。かける言葉が違うだろ!

泣いてるんだぞ。コイツは
大丈夫か?の一言を!!

「てか凄い泣きっつら」
「…え?!」

また、間違えた。
てかコイツ驚き過ぎじゃねぇか?

涙で顔がぐしょぐしょになっている美桜
本当に凄い顔なのに。何故だか愛おしく感じる

俺はそっと美桜に手を伸ばした

バン

「ウォッ、何だこれ……見えない壁??」
「碧…私が見えるの?声、聞こえてる?」
「何言ってんだお前。
不細工な美桜なら見えてるぞ。」

美桜は目をまん丸くして、涙が止まっていた

「っつうか何でお前学校変えてるんだよ」
「そ、それは…じつはね!」

「ソフトクリームなの!」
「あ?ソフトクリームが何だって?」
「え?だからドーナツが!」
「え?、ドーナツ?」
「団子!!!」
「団子?!」

必死そうにスイーツの名前ばっか叫んで
つまり、スイーツが食べたいってことか?

「おまえふざけてんのか?」
「ふざけてないよ!大真面目だよ!」

悔しそうな顔をしているけど
さっきの泣きっつらよりは全然いいな

「泣いてたけど。大丈夫かよ」
「うん。碧に会えたから落ち着いたよ。」

…っ!!
コイツは本当に何も考えずに言ってそうで困る
俺にとってはこんなにも嬉しい言葉だっつうのに

「新しい学校、どうだ?」
「うん。陽菜乃も一緒だから楽しいよ!」
「げ!陽菜乃もやっぱそっち行ってるのか!」

他愛のない会話。
でもやっぱりコイツといると楽しいな
不安も疲れも一気に吹き飛びやがる。


「いたいたー!久我っちー!
そんな所で1人で何話してるのー?」

面の方から朝から付きまとっている奴の声がする

邪魔だな。アイツ