ピピピッピピピッ
「ん〜…朝…」

スマホに手を伸ばしアラームを止める

今日は…中学校の卒業式だ。


今日でお別れする制服を着て
髪を丁寧にとく。
そして、
念入りに身だしなみをチェックする。

いつもは忘れがちなハンカチを持って

「よし。」

気合いを入れる



部屋から出て階段を降りると
朝ごはんこいい匂いがしてくる。

「お母さん!おはよう!」

「おはよう。そろそろできるわよ〜」

今日はスクランブルエッグがあるみたいだ。

「お母さん。お兄ちゃん
今日は帰って来られる?」

「難しいみたい。ごめんなさいね」

「お母さんが謝る事じゃないよ!
全寮制の学園だもん。仕方ない仕方ない!」

私のお兄ちゃんは
日本でも名門校の1つである
星龍桜学園に通っている。

名前はとてもメルヘンチックだし
全寮制で外部の人は中々立ち入れない

でも、そこを卒業する人は大体が
社会で活躍している。

「お兄ちゃんは私の自慢だよ〜!」
そう言って
出来立てのごはんを口に運ぶ

正直私たち兄弟はとても仲良しだ
でもお兄ちゃんが入学して1年の間
一切の連絡が取れていない。

卒業式には来てくれるかもって
期待、してたんだけどなぁ…

仕方ない。仕方ない。


ピーンポーン

「あ!2人が来た!」

勢いよくドアを開けるとそこには見慣れた光景
「おはよう」
「っはよ」

とっても可愛い私の自慢の親友。陽菜乃
生意気だけど頼れる存在の親友、碧

私たち3人は幼馴染だ。


「それじゃ、行ってきまーす!」

「お母さんは後から行くからね〜!」

「うん!」









〜瞳を閉じればあなたが〜♪

ヤバイ。声が震える。

〜まぶたの裏にいる事で〜♪

もぅ。我慢できない。
私の頬をツーっと生暖かい物が伝う

私の通っていた中学校は
小中学校がエスカレーターの所で
皆とは9年間の付き合いだ。
高校はみんなバラバラになってしまう。

「みぉ先輩ぃぃぃ‼︎おめでとうございますぅぅ‼︎」

花道でバスケ部の後輩たちが
私に抱きついてきてくれた

「うっぅっありがどぉぉぉぉぉぉぉっ」

多分私の泣きっ面はすごいだろう。
そう思いながら校門を抜けて振り返る
もうこの学校とはさようならか…
また涙がこみ上げてくる

ばんっ

私の背中を強く押された。

「何泣いてんのさぁぁぁぁぁぁ。」

私の親友
七瀬陽奈乃 ななせひなの
だった。
綺麗な茶髪の少しカールが入った前髪と
右斜め下に作ってるお団子に紙吹雪が混じってる。
綺麗な茶色い瞳はキラキラと光っている。

「そう言う陽奈乃だって〜」

「そりゃ泣くよっ!だって寂しいもーん」

そう言って私に抱きつく

「本当お前ら泣き虫だなぁ」

そう横から言って来た碧の目は
今にもこぼれ出しそうなほどの涙が見える

こっちも私の親友
久我 碧 くが あおい
少し焼けたこげ茶な髪の毛にキリッとした眉
男子バスケットボール部の元キャプテン
やんちゃで生意気だけど筋があるいい奴

「碧が言えるのかなぁ?」

「うるせっ!」

ハハハッと3人で笑い合いながらも
いつも通りのこの感覚が私を落ち着かせてくれる

「うん。でも陽奈乃と碧とは高校でも会えるから
良かったよ」

私が陽奈乃の頭を撫でながら言うと

「ごめん…」

小さく陽奈乃が呟いた。

「ごめん…私違う高校に入ることになっちゃったの」

えっ…。
驚きで私は少し固まってしまった

「もう!何言ってるの!
陽奈乃なら大丈夫だよ!絶対受かるって!」

「違う。私その高校に入学決まってて…」

「碧は知ってたの?」

「イヤ、俺も初耳なんだけど」

え…⁇
じゃあもう陽奈乃ともバイバイ⁇
なんで今まで教えてくれなかったの⁇
決まってるって本当は推薦合格⁇

聞きたくてたまらなかったが

「ごめんね。ごめんね。
2人と離れたくないよぉ。ごめんね。」

真っ赤な顔で泣きじゃくる陽奈乃をみると
聞く気が失せてしまった…

後で聞こう。

「何で今言うの〜余計悲しいよ」

「私も昨日決まってっ。何が何だか
でも2人には伝えなきゃって思って」

そうか…もう陽奈乃はいないのか…
そう考えるとまた涙がこみ上げてきた