──またか、と思った


わたしの元は白かった上履きが多種類の色で落書きされている


乱雑な字で〈バカ〉〈ブス〉〈キモい〉〈死ね〉などと書かれていて、おまけにゴミが入っている


溜め息を付いた


ゴミはゴミ箱に捨てて、上履きはそのまま履いた


一階だが、わたしの教室は一番奥にある


落書きだらけの上履きを履いて目立たない訳がない


階段の周りで騒ぐ男子生徒達、廊下でお喋りをしている女子生徒、わたしとすれ違う生徒


皆がわたしを見て笑ったり、話し出したり、見て顔をそらしたりと様々な様子を見せていた


一番奥にある教室に辿り着き、ドアを開けた


途端に静まり返る教室


教室にいる生徒の目が集まり、すぐに騒ぎ出す


「うーわ、まだ来てるよ」


「迷惑だって思われてんの気づかないのかなー?」


「相変わらずの姿に呪われそう」


「目を合わせちゃダメだよ」


わたしが来るまでは昨日のテレビだったり、好きなアイドルの話をしていただろう


わたしが教室に入ったと同時に始まる悪口大会


それが飛び交う間を通り、自分の席に座った