──二階堂蛍は母親の実家に身を隠すそうだ


つまり引っ越しと転校


元住んでいた家は今は売家となっている


彼女がいなくなったからと言って学校がどうこうなるのはわたし達には関係ない


空いた理事長の席には今は、代理がいるらしい


わたし達のクラスは今、彼女の取り巻きだった人達が上に立ってクラスを仕切っている


「本田さーん」


教室を出ようとしていたわたしに取り巻きだった人達が声をかけてきた


「実はさ、今は手持ちがないんだよね。 だから、ちょっと貸して欲しいの」


お願い、とでも言うように両手を合わせて懇願している


「わたしも持ってないから」


それだけ言って教室を出た


「……何今のー!」


「本田ってもしかしてケチ?」


「なんかさ、あたしらの事を見下してる気がするー」


途端に悪口が出てきた


それでもわたしの足が止まらない