「死ね」と言われたから「殺せ」と言い返した



「そんなのパパが何とかしてくれるよ。 証拠も消してくれる。 だからあたしが人殺しになんかならない!」


「困った時のパパだのみ? お金を出してくれるパパが助けてくれるなんて考えているとか……貴方、随分なアマちゃんね」


「なっ!?」


カッと赤くなった彼女はカッターを下に叩き付けた


「あたしをバカにするのも言い度胸ね!! 見てなさい、お前が死にたいと感じるようにしてやるから!!!」


わたしを指差して屋上の入口に歩きだす


「屋上出た後、パパの所に行くのかな?」


「……っ!」


どうやら図星らしい


耳まで真っ赤になった彼女は取り巻きに向けて「皆、行くよ!!」と叫び、走り出した


取り巻き達はお互いに見合わせ迷いを隠しきれずに後を追った


ただ、一人の男子生徒は落ちていたカッターを拾い、刃を戻す


「……アンタ、意外と饒舌なんだな」


そう言ってカッターナイフをわたしに直接手渡しした後、屋上を出ていった