お風呂から出て、やることが終わったらしい日向くんが丁度リビングにいたから
「日向くん、私って濃いお化粧と薄いお化粧、どっちが似合うと思う?」
そう聞いてみた。
いきなりの私の質問に若干不思議そうな顔をしながらも、考えてくれる日向くんはやっぱりひとが良い。
でも出てきた答えは
「パンダにならないためには薄い方かもな」
「パンダ…」
「そう、パンダ」
「なんか笑ってない?」
「笑ってねぇよ」
そう言いながらニヤニヤと笑う日向くん。
…確実に笑ってるじゃん…。
「まあ、どっちでも似合うと思うけど俺の好みとしては薄い方」
日向くん、薄い方が好みなんだ。
確かに日向くんが好きになりそうな人って
白いワンピースを可憐に着こなしちゃうような
清楚な人のような気がする。
…ボッキュッボンの美人なお姉さんが隣にいても違和感はないけれど。
「そっか、じゃあ薄くしてみる」
私がそう言うと
「俺の好みに合わせてくれんの?」
頬杖をつきながら妖美に笑い私を見てくる日向くん。
出た、日向くんが人をからかう時にする顔!
なんだか色っぽいこの顔!
世の中の女子が一瞬で落ちそうなこの顔!
「違います〜!
日向くんの好みだからじゃなくて
……私が変わりたいから、だよ」
外見も、そして中身も
今が変えるいいチャンス。
そんな私に日向くんはいつもの優しい笑顔で
「そっか、頑張れよ」
そう言ってくれた。


