「はあ?お前なに?俺たち今からいいことしに行くの。邪魔しないでくんね?」
しっしと日向君を追い払う手振りをする男。
え、なに勝手なこと言ってるのこの人!?
肩に置かれてる手が気持ち悪くて、本当にイライラする。
どかそうと力一杯離そうとしてみるけれど、男の力にかなうはずがなくその行為も無駄に終わった。
「…悪いけどお前らのお楽しみより、俺はこいつに説教しなくちゃなんねぇの」
「はあ?」
さっきまでの笑顔はどこにいったと聞きなくなるくらいの怖い顔で、私たちの元へゆっくりと歩いてくる日向君。
その日向君の纏う空気に思わず固唾を呑む。
「だからその手を離せって言ってんだよ」
そう言い、無理やり私を二人から引き離した。
二人から引き離された私は日向君に抱き寄せられる。
さっきの男とは違って、優しい香りが私を包み
その香りに、その体温に、ホッと安堵した。
「…こっ、の!!」
二人組は日向君を殴ろうと拳を振り上げた。けれど人目を気にしてかそのまま何処かへ走って行ってしまった。
逃げていった二人組を見て、ハッとして
「…日向君、あり…」
ありがとう、と言おうとした。
言おうとしたんだよ。
でも私の口はその言葉を口にする前に途中で勝手に閉じた。
なぜなら
「…わかってるな?」
私の頭を鷲掴みながらどす黒い笑みを浮かべた日向君が私を見ていたから…。


