side成瀬 葵



かつてないほどの全速力で階段を降りる。


エレベーターに乗りたかったけど、それを待っている時間も今は惜しくて滅多に使わない階段を使って下まで降りる。




走りながら思い出すのはさっきみた
愛花ちゃんの苦しそうな表情。



日向と家に帰ってきたら
なぜだか部屋が真っ暗だった。


今日は愛花ちゃんバイトないはずなのに…




そう思いながら玄関を開けると
まず目に飛び込んできたのは
脱ぎ捨てられたローファーで。




そこですでに違和感を感じた。




いつも綺麗に揃えて脱いであるのに
なんでだろうと。





日向もおかしいと気づいたみたいで二人で慌てて愛花ちゃんの部屋に向かった。






「愛花ちゃん、いる？」


扉の前で声をかけても返事はなくて、



「ごめんね〜入るよ〜」




と謝りながら部屋に入ればそこにいたのは
苦しそうに息をする愛花ちゃんで。





そんな愛花ちゃんを見て俺より日向がものすごく慌てていて、滅多にうろたえない日向が焦っていることに俺も焦っちゃって。。







……愛花ちゃん、大丈夫かな。