セイボルが何かを企んでいるとも知らずに、屋敷では無邪気に、皆がジュジュと話し込んでいた。

 コロコロと笑うジュジュは、穢れを全く知らない純粋さが笑顔に溢れ、男達を和ませていた。

 すでにジュジュの料理の腕前を知っているし、自分達が見てきた女性とは一味違う魅力を本能で感じ、ジュジュがそこにいるだけで、普段とは違う空気が確実に男四人に影響を与えていた。

 マスカート、ムッカ、カルマンは女性と接する事はそう難しくないが、無口で人と接することを苦手とするバルジが、ジュジュに慣れることは珍しかった。

 そこにはモンモンシューがジュジュを信頼しきっているものを見たからに違いない。

 動物が信頼を置く人間ならば、信用置けるものがある。

 バルジならそう感じるはずである。

 そしてバルジがジュジュを信頼すれば、自然と残りの三人もジュジュになんの疑いも持たず、益々印象がよくなっていく。

 ジュジュはすっかりこの四人の男の心を捉えていた。

「ねぇ、ジュジュ、本当にここに居たいのかい?」

 マスカートが態度を軟化させ、優しく問う。

「おいおい、マスカート、なんだかジュジュにここに居て欲しいみたいに聞こえるぜ」

 ムッカが茶化す。

「いや、私はその、確認をだな……」

「何もそんなに難しく考えなくてもいいじゃないか。僕はもちろん賛成だよ」

 カルマンが陽気に答えた。

「それじゃ、俺も賛成! あれだけ料理が上手いんだ。こっちから頼みたいくらいだ」

 ムッカは恥も外聞も無く、清々しく受け入れ、二カッと歯を見せて笑った。

「あっ、ありがとうございます」

 ジュジュは嬉しくて素直に礼を言うと、マスカートはその流れに便乗しやすくなった。

「まあ、反対する理由が見つからないな。ジュジュがいてくれれば、私達はやっぱり助かるしさ……」

「マスカート、もっとはっきりと、居て欲しいって言えばいいのに。そこが煮え切らないから女に振られ……」

「あっ、カルマン、止めろ」

 毒舌のカルマンの口をムッカは慌てて塞ぎ、カルマンがモゴモゴと抵抗している。

 その側でマスカートは耳をピクッとさせては、肩を震わし、聞かなかったことにしようとしていた。