それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?


 台所から隣に続く部屋のドアを開ければ、そこはダイニングルームに続いていた。

 長方形のテーブルが部屋の殆どを占める形で真ん中に置かれ、それはとても大きい。

 飾り気のないシンプルな部屋だが、少し殺風景気味で味気ない。

 ジュジュは少しでも見栄えをよくするために、裏庭に生えていた草花を採ってきて、適当なグラスに入れてそれを飾ってみた。

 一つでは却ってこの大きなテーブルではみすぼらしく見えたので、いくつも作ってバランスよく配置する。

 あとは料理の皿を置けばなんとか見栄えがよくなるだろうと、頭の中でイメージを膨らませていた。

 お城では常に世話をされる方ではあるが、カーラの教えで炊事洗濯は一通りできるように教え込まれている。

 料理も好きな事もあり、よく料理長の側に行っては観察して、その一流の腕を見よう見真似で自分なりに取り入れていた。

 お城の秘伝のレシピはすでに覚えこみ、目の前の食材を見れば、何をどう料理すればいいか自然とアイデアがでてくる。

 ジュジュは自分の世界に入り込むように、暫し料理に夢中になっていた。

 その甲斐あって、味、見栄えどちらも自分でも中々上手くできたと、料理をテーブルに並べた後、自信に溢れるしっかりとした笑みがこぼれた。

 案の定、男達が腹を空かせてダイニングルームに入って来た時は、素直に驚き、口々に「すごい」という感想が漏れていた。

「これ、ジュジュが作ったのかい?」

 マスカートが料理とジュジュの顔を交互に見て、目をパチクリしていた。

「はい。でもバルジも手伝ってくれました」

「いや、私はジュジュの指示を受けただけだ」

 バルジはぼそりと呟いた。

「うぉ、これは美味そう。あの食材がこんな上品になるなんて信じられない」

 ムッカは手を伸ばし、一つまみしては、早速口に入れ、その味付けに目を見張っていた。

「行儀悪いな、ムッカは。でも、その気持ちもわからないではないな。これは本当においしそうだ。いつもは適当に一つの鍋で煮込むシチューばかりだもんな。これって、どこかの一流レストランみたい」

 口の悪いカルマンが、非の打ち所がないと素直に褒めている。