それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

「この台所、なんでも揃っていて料理のし甲斐があります」

「そうさ、これらは皆街からお礼として届いたのさ。ちょっとこの時期は、街の人達が忙しくて、商売あがったりだけど」

 マスカートが言った。

「そうだよな、なんでも天空の王女の誕生日パーティがあるからって、殆どの男達はそっちに行くし、貢物も一緒に持っていくから、俺達に配分されないんだよな。いい迷惑だぜ」

 気に入らなさそうに喋るムッカの話に反応して、ジュジュの手元が止まった。

「自分が選ばれると思っていくんだろうけどさ、そんなの絶対無理だよね。それに王女がデブでブスだったらどうするんだろうね。どうせ、甘やかされて我侭し放題のきつい性格なんじゃないの。僕はそういう権力をふるって好き放題にされるのは嫌いだ。僕は自分の力で天下を取りたい」

「おいおい、カルマンみたいなひ弱な奴が、偉そうな口叩いてるぜ。やれるものならやってみろよ。お前がそうなったら、俺は何でも言うことを聞く奴隷にでもなってやるよ」

 この時とばかりに、ムッカは鼻で笑ってバカにした。

「その言葉忘れるなよ」

「けっ、コイツ、本当に本気にしやがった。その前に俺がお前よりも出世してるってもんだ」

「何、いってんだよ。ムッカはかっこつけるだけで、空威張りしているだけの癖に」

「何!」

「ムッカ、もしもの夢の話だ。好きなように言わせておけ。カルマンは夢見るお子様さ。所詮叶わぬ夢さ。好きに夢想させてやれ」

「マスカートも女に振られて自信喪失したから、自分を強く見せたくてここに来てるじゃないか。ここに居れば街の人から一目置かれるからね。それで振られた女に振ったことを後悔させてやりたくて、手っ取り早く名声を得たいってだけだもんね。結局は根本的な夢見がちな部分は僕と変わらないと思うよ」

 痛いところを突かれ、マスカートはムッカに注意をした以上、自ら攻撃できずに切歯扼腕していた。

「本当にお前はかわいくない奴だ」

 感情を必死に抑え我慢していた。