それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

「あとはリーフがどう思うかだ。ここはリーフの屋敷だから、リーフが帰れと言ったらその時はそれに従ってもらうことになるだろう」

 マスカートが、肩をすくめながら歯切れ悪く言った。

 ジュジュはリーフの名前を聞いて、暖炉の上に掛けてあった肖像画を頭に思い浮かべていた。

 ここに居る4人も否定ははっきりとできないが、もしかしたらリーフが自分を助けてくれたかもしれない淡い期待を胸に抱いていた。

 気に入られずに追い出されたら、それはそれで受け止めるしかない。

 せめてその前に点数を稼がないとと、ジュジュは奮闘する。

「わかりました。私が役に立つかどうか、とりあえずは私の働きを見て下さい。今から皆さんの食事を作ります」

 ジュジュは袖をまくり、力んだ。

 台所に入れば、テーブルには皆が持って帰ってきた、この日採れた食材が置かれているのが目に入った。棚や隅々には貯蔵されたスパイスや小麦粉、そして保存食もある。

 それを見つめ何が作れるか頭の中でイメージする。

 ひらめきと共に、てきぱきと動き出し、部屋の隅に置かれていた薪や小枝を手に取り、手際よくかまどに入れ込み、側にあった火打ち石を手に取った。

 火を熾(おこ)すことはかなり大変な作業とわかっていたので、ジュジュは緊張するも、意外とその火打ち石が使いやすく、火はすぐに小枝に燃え移った。

「あら……」

 簡単に出来たことで首をかしげながらも、火が熾(おこ)ったことに満足して深く考えなかった。

 後ろでカルマンが、クスッと笑い、残りの三人は圧倒されてジュジュのやることを黙って見ている。

「あの、バターはありますか?」

 それを聞いてバルジが動き、黙ってジュジュの手伝いをしだした。

 ジュジュが言った物以外に、役に立ちそうな香辛料やハーブも取り出していた。

「ありがとうございます。すごい、色々揃ってるんですね」

 バルジは何も言わなかったが、暫く側にいてはジュジュが必要としているものを手渡ししていた。

 お蔭でより一層スムーズに事が運び、初めての場所でもジュジュは不自由なく料理をすることができた。