それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

「ジュジュ、マスカートもムッカも無理にカッコつけてるだけだ。僕は歓迎するよ。だってここにはお礼にきたんだろ? で、何を持ってきてくれたの?」

 カルマンの露骨な催促に、マスカートもムッカもドン引きだったが、そういうことを実際生業としているだけに、二人は何も言えなかった。

「あの、私、その、もちろんお礼をしたいんですけど、今持ち合わせがなくて、あの、その代わりといってはなんですが、ここで働かせて下さい。なんでもしますから」

 最初からここで一緒に暮らすことを腹案してただけに、ジュジュはすがりつく目で頼み込んだ。

 ここにはかつて自分を助けてくれた人がいる。

 まさかこんなにも人が住んでたとは思わなかったが、あの時の人が誰だったのか確かめるまでは帰れないし、あの時抱いた気持ちも伝えたい。

 「しかしだな、それは私達が決めることではないしな」とマスカートが言うと、ムッカも「リーフに訊かないと」と小さく呟いた。

「とにかく、すぐに追い出すことないじゃない。後でリーフに訊けばいいしさ、僕はここで働いてくれるのは賛成だよ」

 カルマンは口は悪いが、素直にジュジュの味方になっていた。

 マスカートとムッカは顔を見合わせながらも、ジュジュがここに居たい意志を聞いた事に、特別に強く反対する気持ちは起こらなかった。

 どちらも弱みを見せたくない意地を張る程度の事で、気に食わないフリをして自分の立場をただ主張していただけだった。

 素直にジュジュを受け入れられない、捻くれた部分を持っていると二人はわかってながらも、自分を男らしいと大きく見せたいプライドが邪魔をしていた。

 そしてそうしなければならない事情もあった。

 カルマンは二人のその弱みをわかっているからこそ、態と憎まれ口を叩き、その反応を見ることで一人で悦に浸っている。

 一番年下だからこそ、無邪気なこともあるが、生意気な口を聞くことで軽くあしらわれない様に予防線をはっていた。

 要するに、この中で一番頭の切れるずる賢さを持ち合わせているのかもしれない。

 バルジは巻き込まれたくないのか、全く気にしないのか、口を出さないが、体が一番大きいこともあり、そこに立ってるだけで存在感だけはあった。

 誰もが一目を置き、バルジのしたいように尊重する。

 バルジは何も言わず岩のようにただ突っ立っていたが、裏を返せばジュジュがここに居ることに反対してないと誰もがそう捉えていた。

 ちょうど意見が半分に分かれたようになった。