それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

「私達は、この森でオーガと戦い、ここに迷い込んできた人々を救ったりしてるんだ。何せ、ここは危険な場所だからね。でもオーガの宝があると思って、一攫千金を求める人達は後を絶たない。そういう人達が来るとオーガは容赦なく攻撃してくるから、それを私達は商売として追い払って助けてやるのさ。その時の報酬として、お礼が届くという訳」

「えっ、商売?」

「まあね。そこは割り切るしかない。こっちだって命がけでやってることだし、オーガに歯向かうのは、この危険な森で住んでる私達ぐらいしかいないから、いいビジネスさ」

 ジュジュは言葉につまり、黙って聞いていた。

「少し、がっかりさせたようだね。しかし、私達が過去に君を助けたっていうのもそういうことで、全てはビジネスだったんだ。だから誰も真剣に覚えてないのさ。君はここに何を思ってやってきたか知らないけど、早く帰った方がいいぞ」

 マスカートは良いように言えばクールだが、それがどこか冷酷にも感じるような言い方だった。

 どこか自分を追い出したいようにも取れて、ジュジュは困惑する。

「あの、例えそれがビジネスであったとしても、私はあの時助けて貰った事は感謝してますし、その時のお礼をしてなかったと思います。だから、その……」

 ジュジュは自分の目的の強かさもあり、その先が言いにくい。

 しかし、今追い出されても困る。

 どう切り出していいのかもじもじしながら迷っている時、ムッカ、カルマン、バルジも戻ってきていた。

 荷物を台所のテーブルに置いた後、開いていた裏口のドアから顔を出し、ジュジュとマスカートが居たことに気がついた様子だった。

「あれ、そんなところで何してるの?」

 カルマンが一番知りたそうに首を突っ込んできた。

「今、このお嬢さんにすぐに帰った方がいいと忠告してるところだ」

「あーあ、マスカートは無理をして心にもない事を」

「カルマン、また一言多いぞ。ここは危険な森だ。こんな森に、こんなか弱いお嬢さんが居ては危ないだろうが」

「まあ、マスカートの言うことも正論だ。俺達は勇者だから、ここにいるけど、このお嬢さんには場違いだ」

「なんだよ、ムッカまでやせ我慢しさ。それに勇者だなんて、虚勢をはりすぎ」

「なんだと、カルマン!」

「よせ、ムッカ。どうしていつもこういがみ合うんだ。受け流すんだ」

 マスカートはそういいつつも、カルマンの言葉にイライラを募らせていた。

 自分でもどこか引っかかっている様子だった。