それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

 足を一歩踏み出し外へ出ると、冷たい風を頬に感じ、それが清々しく気持ちいい。

 ジュジュの気配に気がついた鳥が囀りながら、バタバタと慌しく飛んでいく。

 モンモンシューはそれに影響されて、追いかけるように鳥の後を同じように飛んでいってしまった。

「モンモンシュー、あまり遠くにいっちゃダメよ」

 ジュジュの言葉が届いたのかもわからず、モンモンシューの姿はすぐに見えなくなった。

 モンモンシューが飛んで行った空をジュジュは虚しく眺め、そして気にしても仕方がないと辺りを見回した。

 自給自足のための小さな畑。水を得るための井戸。

 道具をしまいこむ粗野な小屋。

 自由に放し飼いにされた鶏たちが、あちらこちらに散らばっていた。

 生活感が溢れたその裏庭は素朴で、なんでも揃うお城暮らしに慣れてるジュジュには新鮮なものに感じられた。

 自然の恵みにあやかり、自分の力で暮らすスローライフのように、魅力的に見えていた。

 鶏の近くに寄ったり、物珍しそうに裏庭にあったものをじっくりと見渡し夢中になっていると、後ろから声がした。

「ここで何してるんだ?」

 振り返れば、マスカートが眉を下げ困惑顔でドア付近で立っている。

 自分でもジュジュにどう接していいのか、自信なさげな様子だった。

「あっ、その、ちょっと気になって……」

「歩けるぐらいだから、体の調子はいいみたいだね」

 マスカートがゆっくりとジュジュに近づいてきた。

「は、はい。あの薬のお蔭ですっかり気分はよくなりました。ありがとうございました」

「そっか、それはよかった」

 腕を組み、首を上下に振っては、自分の調合した薬が効いた事にマスカートは素直に得意がった。

「あの、皆さんはどこに?」

「皆、それぞれ狩りにでてるよ。私はこの先の森の奥にある沢に、仕掛けていた罠に引っかかった魚を捕らえてきたんだ」

「皆さん、大変ですね」

「そんなに狩りを頻繁にしてる訳でもないんだ。いつもは街から色々とお礼が届くんだ。それで生活することの方が多い」

「お礼?」