それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?


 眠りから覚めたばかりのジュジュの視界はぼんやりとして、思考もぼやけていた。

 「ここはどこ?」と認識できぬまままどろんでいた時、寝ぼけ眼(まなこ)で不意に見た、暖炉の上の肖像画にどきっとして、ジュジュは飛び上がるように体を起こした。

 同時に、ジュジュの体の上で丸まって寝ていたモンモンシューが、床に転げ落ちた。

 「プギャ」という声が小さく弾ける。

「私、寝てしまったんだわ……」

 改めて回りを見れば、おぼろげな過去の記憶とかすかに一致し、ずっと来たかった場所に戻って来れたと感慨深げになっていた。

 そっと立ち上がれば、腰の痛みもすでに消え、気分は悪くなかった。

 モンモンシューが文句を言いたげに不機嫌な顔でジュジュの目線まで飛んでくる。

「モンモンシュー、ごめんごめん」

 ジュジュに素直に謝られると、モンモンシューの機嫌はすぐに直っていた。

「だけど皆どこに行ったんだろう」

 窓の外を見ればまだ外は明るい。

 寝ていたとはいえ、そんなに時間は経っていない感覚だった。

 屋敷の中はとても静かで、人が居る様子が感じられず、それをいいことに、ジュジュは他の場所へと移動した。

 廊下を出れば、まだ他にも部屋があったが、一つだけドアがないアーチ型の入り口を見つけ、自然と足がそこへ向いた。

 そっと中を覗けば、大きなテーブルが目に付き、部屋の角にはかまどがあった。

「ここは台所だわ」

 ジュジュは中に入り、無造作に置かれていた鍋やフライパンといった調理器具に軽く触れた。

「いろんな物が揃ってる。これなら料理もすぐに始められそう」

 何かできそうな事を見つけると、少し自信を持ったように笑みが浮かんできた。

 ここで料理している自分を想像しながら、辺りを一通り見ていると、裏口に続くドアに気がついた。

 そっとそのドアを開ければ、眩しい光が突き刺すように入り込み、思わず目を細めた。