「なんだよ、皆だって結局は良い顔して持てなしてたじゃないか」
「当たり前だろ。俺達はここでは英雄だぜ。変なところ見せられないじゃないか」
同意を求めるようにムッカはマスカートに視線を向けた。
「それに彼女は私達の罠にかかって怪我してしまったしな。放って置けない事は確かだった」
マスカートも仕方がなかったと言いたげに、腕を組んで思考を張り巡らすフリをした。
「結局はムッカもマスカートも偽善だな。自分の名声のために正義ぶってるだけなんだよな」
「なんだとカルマン」
「おい、ムッカ、やめろ。怒れば、それを認めてることになるんだぞ。まあ、私達はどうしても、いいように思われたいという気持ちは確かにあるから、多少の無理はしているのは否定できない。だが、それはカルマンも同じ穴の狢(ムジナ)ということだ」
「さすが、マスカートだな。結局は僕に跳ね返ってきたか。まあ、僕も確かに同類だ。しかし、あの子には何か引っかかる。もしかしたら、後でお礼をたんまりともらえるかも」
「なんだよ、カルマンは、見返りを期待したということか。それにしてもお前は一言多い。その減らず口なんとかならないのか。一々気に触るぜ」
「そういうムッカもすぐに喧嘩腰になるじゃないか。おあいこ、おあいこ」
「だけどだ、この子は結構かわいいじゃないか。たまにはいいんじゃないか。こういうお客さんを迎えても」
「おいおい、マスカート。女には懲りたんじゃなかったのか?」
「余計なお世話だ、ムッカ。お前も一言多いぞ」
「でもさ、この子、こんな危ない森に一人で乗り込んできたんだから、余程僕達に会いたかったってことじゃないのかな。僕達、割とこの辺では有名人だしね」
マスカート、ムッカ、カルマンの三人はすでに眠りこけていたジュジュの寝顔を見ていた。
無防備にすやすやと眠っているジュジュを見ていると、知らずと口許が上向き、男ばかりが住む屋敷に花が咲いたように明るくするものがあった。
「暫くはこの子のしたいようにさせればいい」
ぼそっと最後にバルジが呟いた。
意外にもバルジが口を挟んできたことに三人は顔を見合わせ驚いていたが、「そうだな」となぜか寛容にその提案を受け入れていた。
そこには、心の奥でここに居て欲しいという願望が知らずとあったのかもしれない。
そんな話がされてるのも知らずに、ジュジュは静かに寝息を立てていた。
頬が薄っすらとピンクに染まったジュジュの寝顔は無防備で、それを見つめていると、ささくれていた男達の心に、淡い安らぎを沁み込ませていくようだった。
そんな気持ちを抱いて見つめていた自分達に気がつき、そこに居た男達はそれぞれハッとして目をそらし、わざとらしく自分のやるべき事を無理に見つけて散らばった。
誰しも女に惑わされることが、自分にそぐわないとでもいいたげに虚勢を無理に張ろうとしていた。
だがそれも束の間、結局はジュジュが気になり、誰しも隠れるようにこっそりとつい見てしまうのだった。
「当たり前だろ。俺達はここでは英雄だぜ。変なところ見せられないじゃないか」
同意を求めるようにムッカはマスカートに視線を向けた。
「それに彼女は私達の罠にかかって怪我してしまったしな。放って置けない事は確かだった」
マスカートも仕方がなかったと言いたげに、腕を組んで思考を張り巡らすフリをした。
「結局はムッカもマスカートも偽善だな。自分の名声のために正義ぶってるだけなんだよな」
「なんだとカルマン」
「おい、ムッカ、やめろ。怒れば、それを認めてることになるんだぞ。まあ、私達はどうしても、いいように思われたいという気持ちは確かにあるから、多少の無理はしているのは否定できない。だが、それはカルマンも同じ穴の狢(ムジナ)ということだ」
「さすが、マスカートだな。結局は僕に跳ね返ってきたか。まあ、僕も確かに同類だ。しかし、あの子には何か引っかかる。もしかしたら、後でお礼をたんまりともらえるかも」
「なんだよ、カルマンは、見返りを期待したということか。それにしてもお前は一言多い。その減らず口なんとかならないのか。一々気に触るぜ」
「そういうムッカもすぐに喧嘩腰になるじゃないか。おあいこ、おあいこ」
「だけどだ、この子は結構かわいいじゃないか。たまにはいいんじゃないか。こういうお客さんを迎えても」
「おいおい、マスカート。女には懲りたんじゃなかったのか?」
「余計なお世話だ、ムッカ。お前も一言多いぞ」
「でもさ、この子、こんな危ない森に一人で乗り込んできたんだから、余程僕達に会いたかったってことじゃないのかな。僕達、割とこの辺では有名人だしね」
マスカート、ムッカ、カルマンの三人はすでに眠りこけていたジュジュの寝顔を見ていた。
無防備にすやすやと眠っているジュジュを見ていると、知らずと口許が上向き、男ばかりが住む屋敷に花が咲いたように明るくするものがあった。
「暫くはこの子のしたいようにさせればいい」
ぼそっと最後にバルジが呟いた。
意外にもバルジが口を挟んできたことに三人は顔を見合わせ驚いていたが、「そうだな」となぜか寛容にその提案を受け入れていた。
そこには、心の奥でここに居て欲しいという願望が知らずとあったのかもしれない。
そんな話がされてるのも知らずに、ジュジュは静かに寝息を立てていた。
頬が薄っすらとピンクに染まったジュジュの寝顔は無防備で、それを見つめていると、ささくれていた男達の心に、淡い安らぎを沁み込ませていくようだった。
そんな気持ちを抱いて見つめていた自分達に気がつき、そこに居た男達はそれぞれハッとして目をそらし、わざとらしく自分のやるべき事を無理に見つけて散らばった。
誰しも女に惑わされることが、自分にそぐわないとでもいいたげに虚勢を無理に張ろうとしていた。
だがそれも束の間、結局はジュジュが気になり、誰しも隠れるようにこっそりとつい見てしまうのだった。



