それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

 バルジの声をジュジュは初めて聞いて、思わず見つめてしまった。

 それは低く太い声ではあったが、柔らかく聞こえ、怖さが払拭された。

 バルジは視線を感じ、ジュジュを見つめ返すと、側に寄ってきてモンモンシューをジュジュに渡してやった。

「あ、ありがとうございます」

 何に対して礼を言ったのかジュジュ自身わからなかったが、大きな体が近くに寄ってきた時のインパクトは強く、なんだか圧倒されてしまった。

「いいペットだ」

 自分も欲しそうに、バルジは最後までモンモンシューを見ていた。

「モンモンシューはペットじゃなく、私の大切な友達なんです」

 ジュジュがそこの部分だけはっきり示すと、バルジは暫くジュジュを見つめ、「そっか、友達か」と言葉を繰り返して、後ろに下がっていった。

 何を考えているのかわからないが、感情を表に出すのが苦手なだけで、心の中は穏やかな人なのかもしれない。

 一番得体が知れないが、怖いという感情はもうそこにはなかった。

 この四人は、確かに癖はありそうだが、誰しも悪い人のようには見えない。

 マスカートとムッカが何かを話し、時折笑っている。

 その側でカルマンがちょっかいを出して、茶々を入れながらも、仲よさそうにしている様子だった。

 バルジは黙って、暖炉に薪をくべて火をつけようとしていた。

 ジュジュはなんだか眠気を感じてうとうととまどろんでいた。

 モンモンシューも体を丸めてジュジュに抱かれてすでに休みの体制に入って目を閉じているところをみると、リラックスしているようだった。

 そんな夢の入り口の一歩手前の安らいでいるときに、男達の声がぼんやりと耳に入ってくる。

「ここに連れてきたものの、この後どうするんだよ、マスカート」

「それは私の責任ではないぞ、ムッカ。全てはカルマンが独自に判断したことだ」

 二人はカルマンを見つめた。