それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

「薬草で作ったものさ。まあ、痛み止めというのか、体がリフレッシュして、気分がよくなるものさ」

「あ、ありがとうございます」

「マスカートは薬草には詳しいんだ。怪我した人や病気の人なんか、薬草ですぐに治せるんだ。まあ、僕もそれくらいできるけどさ」

「カルマンは、一言多いんだよ。それに、それを教えたのは私だろうが」

 マスカートは呆れた目をカルマンに向けた。

「はいはい、マスカートのお蔭で僕も薬草の知識が増えて助かってます」

 カルマンはその点は素直に認め、慇懃に一礼しマスカートに敬意を表した。

 マスカートはいつもの事だと気にせずに無視をし、そしてジュジュに再び飲む様にジェスチャーを交えて催促した。

 ジュジュは並々と入っているボールの中の緑の液体を暫く見てから、目を瞑って一口飲んでみた。

 それはあの時と同じように、喉元が冷たく感じてすっとする。

 味は良いとはいえないが、それが心地良く気持ちを落ち着かせてくれた。

「これは……」

「どうした? 少し苦かったかい? できるだけ苦味を抑えたんだけど、多少は我慢して欲しい」

「いえ、その、なんていうか、胸に沁みるようにすーってして気持ちいいんです」

「気に入ってくれたのなら、よかったよかった」

 マスカートは自分の作った薬を褒められて、気分をよくしていた。

 目じりが少し下がって笑っている姿は、第一印象のときと違って、穏やかで優しい人に見えた。

 そして何より、この薬草の味が、過去に呑んだものと酷似していた。

 ジュジュは、マスカートの顔を見つめ、呆然としていた。

 ──まさか、この人があの時助けてくれた人なの?