足には自信がある王女でも、恐怖の中では体は極度に緊張して中々思うように動けない。
時々躓きながらも、必死でオーガから逃げる。
後ろからは「グォー」というライオンの雄たけびにも似た声が聞こえ、ジュジュは戦慄の中、森を駆け抜けた。
木と木の間を潜り、枝をかわし、草むらに飛び込んで身を隠す。
息を潜めてじっとし、気がついたときオーガは近くには居なかった。
逃げおおせたと、ホッとしては、一息つくも、ここからどうやって森を出るか思案していた。
そんな時、また甘い香りが先程よりも確実に鼻に届き、黄金に輝く花の存在が頭にちらついた。
怖い思いをしたというのに、その匂いを嗅ぐや否や、急にトロンとするくらい、それに魅了されしてしまった。
やはりその匂いを追いかけたいという感情に襲われ、オーガの事も忘れ、ふらふらと王女はそこへ足を向けてしまった。
「なぜこんなに甘く、そして私を誘うようにそれは香るのだろう。この香りは心の中にまで入り込んでくる。なんていい匂いなの」
その匂いがもっとも強く感じた場所に辿り着いたとき、そこには腰掛になりそうなくらいの大きさで、赤に黄色のドットがあるキノコがいくつか生えていた。
「この香りは花じゃないの。これはキノコ? それにしても大きい。でも部屋におきたいくらいかわいい」
そのキノコはインテリアにもなりそうで、椅子としても実用的な形をしていた。
ジュジュが鼻から息を吸い込めば、そのキノコから甘い香りが漂っている。
このような派手なキノコは毒毒しく、面妖で食べてはいけないものとはわかるが、香りを嗅ぐだけでは害はないだろうとジュジュは思っていた。
時々躓きながらも、必死でオーガから逃げる。
後ろからは「グォー」というライオンの雄たけびにも似た声が聞こえ、ジュジュは戦慄の中、森を駆け抜けた。
木と木の間を潜り、枝をかわし、草むらに飛び込んで身を隠す。
息を潜めてじっとし、気がついたときオーガは近くには居なかった。
逃げおおせたと、ホッとしては、一息つくも、ここからどうやって森を出るか思案していた。
そんな時、また甘い香りが先程よりも確実に鼻に届き、黄金に輝く花の存在が頭にちらついた。
怖い思いをしたというのに、その匂いを嗅ぐや否や、急にトロンとするくらい、それに魅了されしてしまった。
やはりその匂いを追いかけたいという感情に襲われ、オーガの事も忘れ、ふらふらと王女はそこへ足を向けてしまった。
「なぜこんなに甘く、そして私を誘うようにそれは香るのだろう。この香りは心の中にまで入り込んでくる。なんていい匂いなの」
その匂いがもっとも強く感じた場所に辿り着いたとき、そこには腰掛になりそうなくらいの大きさで、赤に黄色のドットがあるキノコがいくつか生えていた。
「この香りは花じゃないの。これはキノコ? それにしても大きい。でも部屋におきたいくらいかわいい」
そのキノコはインテリアにもなりそうで、椅子としても実用的な形をしていた。
ジュジュが鼻から息を吸い込めば、そのキノコから甘い香りが漂っている。
このような派手なキノコは毒毒しく、面妖で食べてはいけないものとはわかるが、香りを嗅ぐだけでは害はないだろうとジュジュは思っていた。



