それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?


 前夜に上手くお城を抜け出したジュジュは、心細くなりながらも心に秘めた思いを胸に抱いて森を駆けていた。

 何も思い立って抜け出してきたわけではない。

 早くから準備を進め、その手伝いをしてくれるものもいた。

 この王国を出るには欠かせない援助だった。

 暗闇の森を抜ければ、そこは月明かりに照らされた草原が広がっていた。

 そこで大きな黒い岩が不自然に陣取っていたが、ジュジュが近づくとそこから長い首が現れ、ゆったりと夜空に向かって持ち上げられた。

「モンモンシュー」

 ジュジュが呼べば、「キー」という高い音が響き、その大きな塊がムクリと動いた。

 大きなその塊は、伸びをするかのように羽をひろげ、体をほぐした。

 そこをめがけてジュジュは飛び込んで、手を広げてもまだ足りない大きな体ながら、愛情をこめて抱きしめようとする。

 大きい塊はそれに応えようとして、顔をジュジュに近づけ擦り擦りとこすりつけた。

 月に照らされた光の中で、種別を越えた友情がさらに輝きを増している。

 ドラゴンと王女。

 まるで一枚の絵になるような光景だった。

「とうとうこの日が来たわ」

「クー」

 喉から優しく響く音は、ジュジュの門出を祝っているようだった。

 言葉が違うのに、お互いを理解し合える気持ちの繋がりが、そこにあった。