それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

「なんてことなの。セイボルを一目見れば、きっと気に入るはずだったのに。こんなにハンサムなんですもの。私だって、チャンスがあったら……」

 エボニーはセイボルの頬をそっと一撫ぜした。

「よせ、気持ち悪い。血の繋がった姉なんだから」

「わかってるわよ。だからこそあなたには最高の女性と結婚して欲しいのに。なんのために私が苦労してここでこの仕事についたと思ってるの。全てはあなたと王女をくっ付けるためだったのよ」

 愚痴をこぼす時のエボニーは、セイボルにとって苦手だった。

 耳を塞ぎたいばかりに、顔を歪めた。

 そんな事もお構いなしに、カーラとやりあってむしゃくしゃしているエボニーの小言は止まらなかった。

「早くに両親を亡くして、父親の爵位だけはあなたは継いだけど、私達はその身分に合うくらいのお金はなかったわ。でも一応立派なお屋敷に住んでるからいつも見栄を張り、侯爵と呼ばれるに相応しい威厳だけは忘れなかった。 それがプライドとなって偉ぶり、若造のくせにと世間からは疎ましがられたわ。それに私達には地位はあっても、呪われた家系だから、隠れて後ろ指もさされるし、悪い噂も蔓延(はびこ)って、もう最悪よ」

「母親が黒魔術を操る魔女だったから、それは仕方がない」

「何が他人事のように仕方がないよ。あなたは魔王って影で呼ばれてたのよ」

「今も呼ばれてるが」

「何そこで、ボケてるのよ」