それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

「エボニーこそ、ジュネッタージュ様をペットのように飼いならし、甘やかしてきた。まだここへ来て間もないのに、まるでジュネッタージュ様のお気に入りに なろうとしてましたね。そしてその恩恵を受け、あなたはこの地位にのし上がってきました。今、ジュネッタージュ様がいない事で、その地位がなくなるのが不安なのでは?」

「な、何をいうの。そ、そんな事ある訳ないでしょ。話を摩り替えないで」

「いえ、ジュネッタージュ様もお年頃。好きに生きたいと思う事もおありです。それを経験の浅いものが口出しするのは控えた方がよろしいかと」

「やはり、あなたがジュジュ様に外へ目を向けるようにしていたのね。道理で慌てないはずだわ。もし何かあったら、あなたはどう責任を取るつもり?」

「さあ、その時はその時です」

「なに、そのなげやりな言い方。あなたはどこまで仮面を被って素知らぬ顔をするつもり?」

「そちらこそ、どこまで優しい振りしてこの国に取り入るつもり?」

 どちらも何かを企んでいるかのようにお互いを悪者に仕立てていた。

 周りの者は口を挟めず、二人のやり取りにあっけにとられて、一歩引いていた。

「わかりました。それならば私にも考えがあります」

 エボニーは椅子から立ち上がり、強くカーラを睨んでから、部屋を出て行った。

 バタンと体に響くような音を立て、ドアが閉められると、周りの者は肩を竦(すく)めた。

「あの、我々は一体どうすれば……」

 そこに座っていたこの城に仕えている男がカーラに問う。

「私達ができる事は、秘密を洩らさぬよう、そして王女がいるように振舞うだけ。異存のあるものは?」

 もちろん誰も反対意見を述べるものは居ず、その場はしんとする。

 カーラが何を考えているのか誰もわからず、ジュジュがこの先どうなるのかすら考えるのが怖くなり、不安だけがその場に取り残された。