それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

 ジュジュが居なくなったお城では、その緊急対策として、ジュジュを探しに行くかの話し合いが、真実を知るものの間でされている。

 そこには教育係のカーラとエボニーの姿もあった。

 カーラはジュジュが居なくなっても始終落ち着いている。

 それとは対照的にエボニーは心配でイライラしていた。

「今すぐにでも兵に探しにいかせるべきです」

 エボニーが主張すれば、カーラは反対する。

「派手にこの国の兵が動けば、よからぬ噂が立ってしまいます。ましてや王女を探しているとばれてしまえば、それこそ王女の身に危険が迫るかもしれません」

「それなら、隠密に探せばいいだけのこと、一刻も早く連れ戻さないと」

「いえ、今はとにかく様子を見るだけに留めるのがよいのです。それに必ず戻ってこられるといってる以上、下手に動かない方がいいのです。王女は賢い方です。どうすべきか弁(わきま)えていらっしゃる」

「何を言ってるの、カーラ。ジュジュ様はやっと16歳になったばかりの少女ですよ。女の子が一人で一体どうやって、この王国以外の荒くれた場所で過ごすというのですか」

「それもまたいい経験」

「何が、いい経験ですか。カーラはジュジュ様がお城から居なくなることをまるで応援しているみたいな言い草だわ」

「私は一人で生きていくだけの知恵を教えましたからね。それを実践してもらえるのは、教師冥利につきるというもの」

「馬鹿げてるわ。ジュジュ様が危ないというのに、それを手助けして城から出て行くようにしたみたいに聞こえるわ」

 カーラはその言葉で、鋭い眼差しをエボニーに向けた。