「セイボル、大丈夫」

「大丈夫じゃない。でも一つだけ大丈夫なことがある」

「えっ?」

「ジュジュのファーストキスは昔に私がすでに奪ってた」

 ジュジュは何の事かわからずキョトンとしていた。

 事故後、ジュジュをソファーに寝かして様子を見ていたあの日、セイボルはエボニーから貰ったスケッチ画そっくりの女の子の出現ですでに心奪われ、そして寝ていることをいいことに、ジュジュにキスをしてしまった。

 スケッチ画は今にも飛び出してきそうに、ジュジュが生き生きとかかれ、それがとても魅力的だった。

 そんな絵を毎日見ているうち、実際に本物が現われた時はセイボルは驚いた。

 絵で見たとおりの女の子が目の前で眠っていると思うと、気がついたらキスをしていた。

 セイボルはそれからジュジュに夢中になり、ジュジュの誕生日パーティでは是非とも自分が選ばれなければならなかった。

 だからこそ意気込んで、気合を入れていた。

 セイボルは正直に全てを話し、自分の姉のエボニーも一役買っていたことを伝えた。

「そうだったの。エボニーまで」

「ジュジュ、エボニーの事許してやって欲しい」

「もちろんよ。エボニーは私のお姉さんになるかもしれないんですもの」

「ジュジュ」

 二人はクスクスと笑いあい。

 そして手を取り合って固く握り合っていた。