「だったらその方を明日のパーティにお連れすれば、簡単じゃないですか」

「私はそんなの嫌なの。王女としての身分を見せて私を愛せだなんて、私は満足できないわ。そんな肩書きに捉われずに、私自身を好きになってほしいの」

「という事は、相手は王女様という事を知らないんですね」

「それ以前に、まだ私の事をよく知らないでいるわ」

「えっ?」

「私、その人に出会ったときに、その、なんていうか、一目ぼれ? ……しちゃったの。この人だってビビビってきちゃって。それなら、この恋に掛けてみたくなって」

「でも、もし、その人が思うように王女様を好きにならなかったらどうするんですか?」

「その時は…… 諦めるわ。そして大人しくこの王国を守るために相応しい殿方を選ぶわ」

「ジュネッタージュ様……」

 ジュジュの長い睫が寂しく下を向き、それがグェンの同情を買った。

「わかりました。それなら、私も協力させて頂きます。ジュネッタージュ様が安全にここを離れられるまで私はこの部屋で、ジュネッタージュ様のフリをすればいいだけですね」

「ありがとう、グェン。感謝するわ」

「ジュネッタージュ様、くれぐれもお体にはお気をつけ下さい。もし危ないと思われたら、すぐに避難してここに戻ってくることだけは私に約束して下さい」

「わかったわ。約束する」