「呼んでる? 何も呼んでないから」
ジュジュははっとした。
このキノコも魔術が使えるのかもしれない。
そういう特別な力を持つ植物がいてもおかしくない。
ジュジュにはその幻聴が聞こえないのが証拠だった。
ただ匂いだけはキノコの特徴で、魔術とは関係ないのだろう。
「カルマンだめ!」
カルマンはジュジュを押しのけ、ジュジュは草むらに倒れこんだ。
カルマンはその隙にキノコに腰掛けてしまい、あの時と同じように当たり一面に粒子のような粉が舞い上がる。
「あっ、目が、目が」
カルマンは目を抑え、咳き込みパニックに陥っていた。
「カルマン、早くこっちに戻ってきて!」
ジュジュが声を掛けるのと同時に、地面からあの人食い植物が現われ、カルマンめがけてその牙を向けた。
「うわぁー」
カルマンが食べられてしまう。
ジュジュは危険を顧みず、まだ粒子が舞い散っている場所に入り込み、そしてカルマンを突き飛ばし、その反動でジュジュも一緒に転がった。
なんとか免れ、人食い植物は、勢いで地面にぶつかっていた。
しかしすぐさま、また頭をもたげて、位置を確認して襲ってきた。
ジュジュはその速さについていけず、動けなかった。
これでお終いと絶望感に襲われ頭を抱えた時、急に人食い植物はゆらゆらと揺れるだけに留まっていた。
「ジュジュ、今のうちに早くこっちへ来るんだ」
そこには足元を土だらけにしたリーフが居た。
ジュジュはカルマンを支えて、リーフの元に向かった。



