そこに居た者は、とんでもない事態に、顔を青ざめて頷いた。

 この天空の王国の跡取りに何かあれば、この国は終わってしまう。

 その時はドラゴンが驚異的になり、人類を脅かし、そしてこの世界の秩序が乱れてしまう。

 そんな破滅に繋がる、危機迫った状況に皆恐れ、何がなんでもジュネッタージュ王女がこの城から居なくなった事を隠し通さねばならなくなった。

 もし事実が知れ渡り、よからぬ者に誘拐されることにでもなれば、それもまたこの国の存亡に係わってしまう。

「とにかく、そこの者、確かグェンでしたね。ジュネッタージュ様に代わりを申し付かったのなら、戻ってくるまでその任務を全うしなさい」

 カーラは、目を真っ赤にして泣いているグェンに命令した。

 この国、いや、この世界の存亡がかかっているのなら、そうするしかない。

 グェンは昨晩交わした王女との会話を思い出しながら、首を縦に振っていた。