それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

 カルマンが大きな木の上から顔を覗かしているが、どうみても不自然に首だけしか見えない。

「この木の上はイリュージョンになってて、実際の姿と異なって見えるの。この木の裏側を見て、そこから入れるようになってるから」

 ジュジュがぐるりと回りこんでも何も代わり映えがなかった。

 だが、その数秒後に、突然足を引っ掛けるツッパリが木から飛び出し、木の幹にそってぐるぐると螺旋階段のようにそれらが上に向かっていた。

 ジュジュはびっくりしながら、一段一段それを上っていくと、一定の高さが過ぎたところで、いきなり小屋が現われた。

 上まで上りきった時、ドアが開いて、にこやかにカルマンが迎えてくれた。

「ジュジュ、嬉しいよ。ここに来てくれて。僕、ずっと待ってた。ジュジュなら絶対来てくれるって信じてた。さあ中に入って」

「カルマン、ここは一体」

「ふふーん、びっくりした? この小屋は外からは見えないようになってるんだ。早い話がイリュージョンなんだけどね。人の目には木にしか見えないようになってるんだ。木が持つ本来の力が誇張されてるんだ」

「イリュージョン……」

 それはセイボルも言っていた言葉だった。

「そんなことより、早く中に入って」

 ジュジュは恐る恐る小屋の中に足を踏み入れる。

 コテージのように丸太が組み合わさって出来たその小屋は、天井が高く、とても開放感があった。

 だが、ごちゃごちゃとしたものが所狭しと飾られ、ラジーが言っていたように異様な雰囲気がする。

 研究室のような、解体所のような、はっきりいえば、不気味だった。

 そこで一際目立っていたのが、いつかカルマンから貰ったことのある赤いバラの鉢だった。

「カルマン、ここで一体何をしてるの」

「前にも言ったでしょ。僕はマッドサイエンティストだって。ここで色々魔術について勉強してたの」

「魔術?」

「そう、黙ってたけど、僕は赤魔術を操る魔術師さ」

「カルマンが魔術師?」

「でも僕の場合、科学者でもあるから、新しい魔術を開発中なんだ。それでどうしてもある呪文書が必要だったんだ。それはリーフの書斎にあったから、それをこっそり手に入れるために、昨日の騒ぎをラジーに起こしてもらったって訳」

 あまりにもあっけらかんと言うので、ジュジュはなんだか腹が立って、足が震えてくる。

 それを今は必死に押さえるので精一杯だった。

 ここで怒っても、カルマンには何の効果もない。

 ジュジュは辛抱強く耐えた。

「それでさ、早速試そうとその本を見たんだけど、ほらこれ見て、全部真っ白。何も書いてないんだ。僕、がっかりだよ」

 ジュジュはその本を手渡され、パラパラと捲ってみた。

 ジュジュの目にはびっしりとした文字が書き込まれているようにしか見えない。

「これが白紙? えっ、ちゃんと字が見えるけど」

「うそ、ちょっと貸して」

 カルマンはまた本を手にしてパラパラとページを捲った。

 でもカルマンにはどうやっても白紙にしか見えない。