それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?



 少し時間が遡るが、リーフが刺された直後は、誰もが慌てて状況を瞬時に把握できないでした。

 バルジに全てを任せ、ジュジュの証言を頼りに、マスカートとムッカは、刺したと思われるセイボルを追いかけた。

 すばしこい二人は、前方を走っている髪の長い男をすぐに見つけた。

「待て! セイボル!」

 どちらも逃がすまいと声を張り上げた。

 ずんずんと迫ってくる二人に戦慄し、暗い森の中で全力で走るのは困難極まる。

 木をよけ、根っこや落ちてる枝を全て飛び越えるのはむずかしく、追いかけられて焦る気持ちがまともに走れなくさせた。

 そのうち、何かに躓いて盛大に転んでくれたのは、マスカートとムッカには有難かった。

 ムッカがジャンプして上から押さえ込み、マスカートが剣を抜いて目の前に突き出すと、男は「ひぃぃぃぃ」と悲鳴を上げた。

「助けてくれ、ムッカ」

「えっ、お前誰だよ」

 ムッカが後頭部の髪を引っ張ると、それはスポッととれ、そこにはラジーの姿が現われた。

「おまえ、ラジーじゃないか。なんでウィッグなんか被ってるんだ」

「頼まれたんだよ、カルマンに」

「カルマン?」

 ムッカがマスカートと顔を合わせた。

「おい、どういうことだ、説明しろ」

 ラジーはカルマンによって助けられた事を説明する。

「それで、その代償として、このウィッグと服を着用して、屋敷の主をその場に引き止めるくらいの大騒動を起こしてくれって頼まれたんだ」

「なんでまた?」

「わからない。だけど屋敷の主を裏庭に呼び寄せるから、その時、とにかくナイフで軽く傷つけろって言われたんだ」

「馬鹿やろう! 何が軽く傷つけろだ。リーフは腹から血を流してるじゃないか」

「そうなんだよ。あんなになるなんて思わなかったんだ。勝手に手が動いて、気がついたらナイフで刺してたんだ。全く深く刺すつもりなんてなかったんだ。信じてくれ、ムッカ」

「くそ、カルマンの奴。こんな事して一体何を考えてるんだ。とにかく、マスカート、先に戻ってカルマンを問い詰めてくれ。こいつは俺に任せろ」

「わかった」

 マスカートは素早く屋敷に戻っていった。