「ちょっと、出て行ったって、一体どこへ」

 取り乱したエボニーは、責めるように訊いた。

「わ、私はただ、代わりになるように仰せつかっただけで、く、詳しいことまではわかりません!」

 それを搾り出した声で言った後は、泣きじゃくってしまい、その後は何も答えなかった。

 カーラは他の者に、グェンを宥めるように指示をした。

 そして息を洩らすように呟く。

「仕方ありませんね」

 他人事のように言うカーラに、エボニーは納得いかなかった。

「仕方がないって、そんな言葉で収まる状況じゃないじゃないですか。ちょっとどうするんですか」

「ご本人がいらっしゃらないのなら、このパーティは中止するしかないです」

「パーティもそうですが、お城を出て行ったなんて人に知れたら、一大事じゃないですか。ジュジュ様に万が一の事があったら」

「では、世間に知られないようにしないといけませんね。それでは、ジュネッタージュ様は急病ということにいたしましょう。皆さん、この事は絶対に口外されませんように。これはジュネッタージュ様の名誉にかかわることでもあります」