「えっ、なんで僕が? だってラジーは僕の事馬鹿にしてたじゃない。そんなの許せると思う?」

「そ、それはそうだが、すまなかった。謝るよ。だから助けてくれ。昨日から何も食べてないんだ」

「そんなの僕知らないよ。あれだけムッカが注意したのに、聞かなかったあんたが悪い。それに、みんなを放っておいて、一人だけ逃げたんだろ。やっぱりあんたが悪い」

「咄嗟に逃げてしまったんだ。逃げた後戻れなくなって、森の中で迷って仕方なくここで一晩明かした。仲間には申し訳ないと思ってる。もちろんムッカや君にも」

「ふーん、大変だね。だけど僕に助けて欲しいなら、それなりの代償を払ってもらうことになるよ。それでもいいの?」

「いくらだ? お金は今持ち合わせてないが、後で持ってくる」

「そんなの信用ならないね」

「それじゃどうすればいい。このままでは私はここで動けないまま死んでしまいそうだ」

「だったら、僕のいう事なんでも聞いてくれる? ちょっとした仕事をして欲しいんだ」

「分かった」

 切羽詰ったラジーは即答で承諾した。

 カルマンは面白いことになりそうだとニヤッと不気味に微笑んでいた。

 繁みで動けなくなっているラジーを起こし、肩を貸して寄り添い自分の小屋に連れて行った。

 ラジーはカルマンの小屋を見て目を丸くした。

 その小屋への入り方にも驚き、中に入っても驚きは止まらず、段々と不安になってきた。

「なんなんだこの場所は、見かけもすごいけど、中もすごいし、一体ここで何をやってるんだ?」

 ラジーは乱暴に鹿の皮が敷かれた床に座らされた。