それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

「ジュジュ、手当てを手伝ってくれるか」

 マスカートは色々な薬草を用意しながらテキパキと負傷者の傷を手当する。

 ジュジュはそのアシスタントとして大いに役立った。

 特に負傷者が、ジュジュに手当てをしてもらうだけで気持ちがよくなり、ポッと頬を染めて照れていた。

「大丈夫ですからね。マスカートは薬草の名医なんですよ。すぐに治りますからね」

 ジュジュは皆からの視線を浴びていた。

 ジュジュのいう事を素直に聞くラジーたちの手下を見て、ムッカは微笑む。

 ジュジュはその晩、沢山の夕食の用意に追われ、とても働いていた。

 食事は美味しく、優しく介護してくれ、手下達はジュジュにメロメロになっていく。

 誰もが、心も傷も癒され、そしてそれが大いに影響し、尖った部分が丸くなっていく。

 この時ばかりは、ムッカの話にも耳を傾け、結局は見捨てて去ってしまったラジーに憤りを感じていた。

 しかし、ムッカはラジーを庇った。

 追い詰められて逃げ出したり、心の弱さは誰にでもある。

 それを許してやり直すチャンスを与える事も必要だと付け加えていた。

「ムッカは甘いな」

 カルマンはそれを陰で嘲笑った。

 ジュジュは真剣にムッカの話を聞いては、感銘を受けていた。

「ムッカはとても男らしいと思うわ。自分の弱さを知った上で、負けない勇気のある人だわ」

「ジュジュ……」

 ムッカはジュジュに褒められ、心が洗われていく。

 そして小さく「ありがとう」と呟いた。

 ジュジュにはそれがちゃんと聞こえたみたいで、優しい笑顔がムッカに向けられた。

 その笑顔を見るだけでムッカには充分だった。

 好きになった人に、自分の思いは届かなくとも、自分自身を理解してもらえた。

 それだけで心が満たされていた。

 オーガに襲われ、怪我を負った男達も、すっかりジュジュに心を許し打ち解けると、次第に笑い声が飛び交うようになった。

 ムッカたちにも、非礼のお詫びをし、すっかり丸く収まった。

 屋敷の中が賑やかになり、リーフの書斎までそれが伝わってくる。

 バルジからの報告を受け、全てを把握していたが、オーガが現れ、容赦なく切りつけたことはよく思ってなかった。

「この森では仕方がない事とはいえ、大量の怪我人がでてしまったか」

 容赦のないオーガの行動は、歓迎できるものではなかった。

 リーフ自身も懸念する問題を抱え、一人でそれを背負い込むのは苦しくなる。

 暗闇が訪れた森の頭上に、月の光が降り注いでいた。

 慰めを求め、窓際に立ちその月を眺めれば、溜息が出てきた。

 リーフとて時には弱音を吐きたくなる。

「月夜の晩か……」

 白く冷たく輝く月の光は美しく神秘であったが、リーフはおもむろにカーテンを閉めてそれを遮った。

 そして悩みながら、椅子に深く腰掛けた。