それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

「この森はオーガだけでなく、人食い植物や毒キノコが生息している。人間を襲う動物もいるし、危険は一杯だ。森を舐めて油断するのは命取りだ」

 ムッカはできるだけ冷静に忠告した。

「だったらなんで、お前達四人はノコノコとこの森に住んでんだよ」

「俺達はある程度の知識がある。それは雇い主から叩き込まれた。入ってはいけない場所、生息する動物の習性、そしてオーガの縄張り。それを知っているから、動ける範囲で活動している」

「入れない場所に、縄張りだって? 笑わせるな。本当はそこにこの森のお宝がたっぷりあって、お前の言う雇い主が独り占めしてるんだろ。聞いたぞ、この森には金が眠るって。それは一体どこにあるんだ。早く教えろよ。この弱虫やろう」

 ムッカは胸元を掴まれ引っ張られた。

「おい止めろよ」

 カルマンが見てられなくて、ラジーを突き飛ばした。

「なんだ、コイツ。アホ面しやがって、生意気な」

 安っぽい挑発だが、プライドの高いカルマンには簡単に攻撃のトリガーを引いてしまう。

 カルマンの瞳はギラギラと怒りで燃え盛った。

 カルマンは腰の剣を抜いてしまい、邪悪な笑みを向けてラジーめがけて振り下ろす。

「止めろ、カルマン!」

 ムッカは咄嗟にラジーを庇い、カルマンの剣を左腕で受けていた。

 切られた部分の袖から赤い血がにじみ出て、そして手首にもつたわりポタポタとゆっくり地面に落ちていく。

「なんで止めるんだよ、ムッカ。こんな奴痛い目に合えばいいんだよ」

「カルマン、俺達は人助けはするが、むやみな争いはしてはならない。同じ土俵に立つんじゃない。わきまえろ」

 後ろからバルジが黙ってカルマンの首根っこを掴み、有無を言わさず引っ込まさせた。

 にらみ合いが暫く続くも、ムッカの血は大地に鮮明な赤色を焼きつかせ、ラジーの視界に無理やり入り込んでいく。

 ラジーは気に食わなさそうに顔を歪ませるが、次第にそれは息苦しさを伴わせた。

「なんだよ、わざとらしく恩着せようという魂胆か? 馬鹿馬鹿しい。全てが茶番劇なんだよ。今更そんな事して何の意味がある」

「ラジーこそ、悪ぶってなんの意味がある? どうせ引っ込みがつかなくなって、虚栄心だけでこの森に入って粋がってるだけだろ。本当は怖いくせに」

「なんだと!」

「無理しなくていい。俺も少し前まではそうだったから」

「俺はムッカとは違うぜ。絶対に仲間を売らない」

「もし仲間が間違ったことをしようとしていてもか。そうやって流されてどんどん深みにはまって、結局は取り返しのつかないようになるぜ。その前に気付け、ラジー」

「馬鹿馬鹿しい。話してても埒があかない。皆、こんなのは放っておいて、行こうぜ」

 ラジーはもっと森の奥へ進もうと歩き出した、その中の一人が、ムッカの話に怖気づいて出足を鈍らせた。