それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

 台所の裏口を開ければ、マスカートが裏庭でぼんやりとして夜空を眺めていた。

 風がひんやりと流れている。

 少し肌寒く、足を一歩外に踏み入れると身が引き締まる。

 そんなに長くは居られないような気温の中、マスカートはまるで凍ったように動かず突っ立っていた。

「マスカート」

 小さく名前を呼べば、静かに振り向く。

「ジュジュ……」

 消え行きそうに声が震えていた。

 お互いの顔がやっと至近距離で見える薄暗い中、二人は向き合った。

「本当に申し訳なかった」

 マスカートは心からジュジュに謝罪をする。

 ジュジュはそれを素直に受け入れた。

「大丈夫よ。もうなんとも思ってないから。それよりも、マスカートの方が……」

「私はいろんなことが見えてなかった。ドルーという女性に惚れた時も、失恋した時も、今までの毎日も。いや、見ようとしてなかった。なんて私は愚かだったのだろう。ジュジュをあんな危険な目に合わせてしまうし」

「私はもういいって言ってるでしょ。それに誰だって愚かな事は犯すわ。マスカートだけじゃない」

「ジュジュ」

「そして皆、気がついてその都度学んでいくんだと思うわ」

 マスカートは身を震わしていた。

 ぐっと歯を食いしばり、自分の感情を押さえ込んでいる。

 ジュジュはそんな姿を見ていると、慰めてやりたくなる。

 その思いが自然に行動に現れ、全てを包み込むようにそっとマスカートに抱きついた。

「何も我慢しなくていいと思うわ」

 マスカートが抱き返すことで、押さえ込んでいた感情が、体から抜けていくのがジュジュには感じ取れた。

 辛い時、悲しい時、耐えられない時、誰かが支えてくれると気持ちが楽になる。

 抱きしめる事は気持ちをやわらげる効果が確実にあった。

 リーフもあの時、ジュジュを見てそう思ったに違いない。

 ジュジュは夜空の星を仰ぎながら、暗闇によって現れる星の光に隠れた優しさを重ね合わせていた。

 気がつかなければ見えないもの。

 この屋敷には、それが沢山あるような気がした。

 マスカートが落ち着いたところで、急に我に返ったのか、ハッとして、慌ててジュジュから離れた。

 コホンと空咳を一つすると、今度は照れたようにモジモジしていた。