それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

 この後も食器洗いを手伝ってくれるものの、バルジは何も話さなかった。

 ドルーに包丁を向けられ、恐ろしい思いをしてショックを受けたが、そんな事はジュジュの頭からすでに抜けていた。

 ジュジュがこの時気にしていたのは、リーフによって抱きしめられたことだった。

 避けられて嫌われていると感じていただけあって、あのリーフが取った行動はジュジュの思考能力を麻痺させ、それで頭が一杯になってしまう。

 一瞬の出来事だったが、ジュジュのためを思って、慰めてくれたリーフの思いが、ジュジュにはとても嬉しかった。

 それと同時に、ドキドキと胸が高鳴り、あの時抱いたぬくもりが、思い出すたびに蘇りまだ体に残っている。

 ジュジュにとってはこっちの方が大事件だった。

 片づけが終わってしまうと、バルジは台所から出て行こうとする。ジュジュは思わず呼び止めた。

「バルジ、リーフは何か言ってなかった?」

 バルジは大きな山のごとく泰然と立ち、暫く考え込んでから口を開いた。

「何があったか事実を聞いただけで、特にジュジュに対しては何も言わなかった」

「そう……」

 ジュジュ自身、何を期待して、バルジに訊いたかわからなかった。

 バルジは台所から出て行こうとしたが、この時逡巡して、もう一度立ち止まった。

 少しだけ振り返るように首の角度を変え呟いた。

「毎日の食事が美味しいとは言っていた」

「えっ?」

 ジュジュが聞き返すも、バルジは話をするつもりはなく、さっさと去って行った。

 その言葉の意味がじわじわと心に沁み込んで、ジュジュは自然と顔を綻ばしていた。