それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

「止めろ、ドルー! ジュジュは関係ない」

「マスカートは私の事が忘れられないはずでしょ。私しか見えなかったんだから」

 自分で振っておいて、よくそんな事が言えると誰もが思ったが、我を忘れて包丁を持つ相手に軽々しく突っ込めなかった。

「とにかく落ち着け。そうだ、私はずっとドルーの事を思っていた。振られても、未練がましく、ドルーが戻ってきてくれるのを願ってた。その通りだから」

 マスカートもなりふり構ってられなかった。

 ドルーはすでに興奮して聞く耳持たずだった。

 自分が酷いことをしてでも、上の立場でないと気がすまないそのプライドが、ジュジュによって狂わされてしまった。

 ジュジュは必死に考える。

 この場合どうすれば一番いいのか。

 息を荒くしてなんとか落ち着こうとしていた。

 包丁が振り上げられ絶体絶命のその時、モンモンシューが素早いスピードでドルーめがけて飛んできた。

 いや、飛んできたというより、ボールのように投げられていた。

 モンモンシューは素早く、ドルーの手に噛み付くと同時に、誰かが機敏に突進してドルーから包丁を奪った。

 そしてその肩幅の広い背中をジュジュに向け、ジュジュを庇うように立ちはだかった。

 ジュジュは目の前の背中を見つめ、息を飲んだ。その背中が誰なのかすぐに気がついた。

「私の屋敷で勝手な事をするのは許さない。この屋敷から一刻も早く出て行け」

 容赦なく強くドルーを睨みつけ、怒りを露にしていた。

 その迫力にドルーは蹴落とされ、魂が抜けたように立ちすくんでいる。

 マスカートは黙って労わるように、ドルーの肩を押し、そして静かに台所から出て行った。

「ムッカ、そこで何をしている。バルジとカルマンはまだ屋敷には戻ってきてないぞ」

 ムッカは息を飲み込み、これ以上のトラブルは面倒だと慌てて出て行った。

 騒がしかった台所は静けさを取り戻し、暫く沈黙が続く。

 その時、調理台に投げられた包丁の音が響いた。