それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

 ジュジュを壁に追い詰め、至近距離から威圧するように頼み込んでいる時、ずっと待たされていたドルーが痺れを切らして台所まで様子を伺いに来ていた。

 入り口から、偶然見えたマスカートとジュジュの真剣なやり取り。

 それはまさにムッカが思いついたアイデアが実現している絶好の構図だった。

「マスカート!」

 ドルーが叫び、ジュジュもマスカートも同時に声のする方向に首を向ける。

 ジュジュは、ハッとして慌ててしまい、マスカートは素早い頭の回転で、この状況がグッドタイミングだと判断した。

「ドルー、見られてしまったのなら仕方がない。実はこういう事だったのさ」

 咄嗟の機転でマスカートは演技をし、ジュジュは弁解する余地もなく口をパクパクとして言葉を失っていた。

 ドルーの顔つきは眉毛が吊り上がり、顔を真っ赤にして血が頭に上っていた。

 部屋の隅では、ムッカが高見の見物をするように、面白半分で見ていた。

 他人事だと思うと、目の前の光景は舞台の劇を見ているようで、楽しいモノだった。

 マスカートも、自分がやられたことをやり返すことができ、多少は鬱憤を晴らせていた。

 ドルーが感情をむき出しにしている姿を見ると、少しは溜飲が下がる。

「ドルー、これで分かっただろ」

 マスカートの言い分は、振られたことへの辛い傷が理解できただろうという意味だったが、この時、ドルーが解釈したのは、ジュジュと恋仲だという事が分かっただろうとあてつけとして受け取った。

 マスカートがジュジュから離れ、ドルーと向き合おうとすると、ドルーは闘牛のように突進してきて、マスカートを突き飛ばした。

 マスカートは予期せぬその行動にびっくりし、突然の突撃でいとも簡単に跳ね飛ばされ、床の上に転んでいた。

 あまりの衝撃と痛さで、すぐには立てず、呻き声をあげていた。

 ムッカも、その無様なマスカートの姿に最初は笑っていたが、すぐに顔が凍りついた。

「おい、マスカート、やばいぞ」

 震える声を出し、ムッカがそっとスツールから立ち上がろうとするも、ドルーが金きり声で叫んで抑制した。

「誰も動かないで!」

 その声は屋敷の中を劈く勢いで広がった。

 ドルーの手には、先ほどジャガイモの皮を剥いていたジュジュの包丁が、いつの間にか握られ、そしてそれは、壁に追い詰められて逃げ場を失っていたジュジュに向けられていた。

「ジュジュ!」

 マスカートも大声を上げ、すぐさま体勢を整えて立ち上がろうとするが、ドルーの持つ包丁から鈍い光が放たれるのを見るとすぐさま近づけず怯んだ。