すぐに声のする部屋へと駆けつければ、広間で見慣れない美しい女性が、涙を流しながらマスカートに訴えている姿がそこにあった。
マスカートは複雑な表情でそれを見ては、時折奥歯をかみ締めて、苛立ったように体が震えている。
離れた場所でハラハラして見ているムッカが、ジュジュに気がつくと、そっと近寄って耳打ちしてきた。
「森の中でさ、ばったりとマスカートの元カノにでくわしたのさ。マスカートの噂を街で聞いた元カノがマスカートに会いにやってきたってことなんだ。それで今揉めてる」
「マスカートは嬉しくないの?」
「いくら惚れて、忘れられなくても、一度は捨てられてるんだぜ。そんな女がノコノコとやってきて『よりを戻しましょ』なんて言われても、男としては素直に受け入れられるものじゃない。折角失恋の傷も癒えてきてたとこだったのに、マスカートもどうしていいのかわからないのさ」
ジュジュはムッカと一緒に黙って様子を見ていた。
「だから、私が悪かったっていってるじゃないの。あの場合どうしようもなかったのよ」
まるで劇をみているような勢いで、女性が派手に涙を流して訴えている。
「どうしようもなかったって、そんな風には見えなかった。君は突然私の前から姿を消して、私が再び君を見かけた時には、別の男と楽しそうに腕を組んで歩いていたではないか」
「だから何度も言ってるじゃない。あれはどうしようもなかったって」
「その後、私を邪険に扱い、肘鉄でも食らわすように嫌な顔を向けたではないか。あれのどこがどうしようもない姿だったんだ?」
「私は両親に言われるままに、あの男の側に居なければならなかったの。あんな男の事好きでもなんでもなかったわ。だけどそうする事しかできなかったの」
「それならどうして私に相談してくれなかったんだ。一言相談してくれれば、君と一緒に他の街へ逃げる事だってもちろん考えただろうし、私も君の両親を説得できたかもしれない」
「そんなの無理よ。両親を捨てることなどできないし、お金のないあなたの言葉にもあの時の私の両親は耳を傾ける事もなかったわ」
「ほら、結局はお金だ。君もお金が目当てだったんだろ」
「酷いわ! あの男と手を切って、今はこうやってあなたに会いに、こんな危ない森の中にまで危険を承知でやってきたのよ。ねぇ、マスカート、私の気持ちも分かって」
「それじゃなぜ今はその男と手が切れたんだ」
「気がついたのよ。無理に好きでもない男と一緒にいる虚しさに。そして私はどんどん心が病んでいったわ。それで私の両親は心配しだしたの。そこでやっと間違いだったって気がついてくれたの。私の好きなようにしたらいいって。そしたらあなたの思いが私の中で爆発したわ。そんな時にあなたがこの森にいるって聞いて、気がついたら森の中を駆けていたわ」
「そんなの信じられるか」
マスカートは小さく呟き、瞳が揺れていた。
ふと目を逸らした先でジュジュが視界に入った。
元カノとの話し合いに夢中になりすぎて気がつかなかった。
ジュジュのマスカートを見る目が、心配そうに不安に揺れていた。
思わず「ジュジュ……」とマスカートの口からその名が漏れる。
女はそれに敏感に反応した。
突然敵意を持って、女はジュジュに振り返り睨みだした。
マスカートが穏便によりを戻さない原因がジュジュにあると女性独特の敏感なセンサーが働く。
ジュジュの前に向かって、女は突然歩き出した。
マスカートは複雑な表情でそれを見ては、時折奥歯をかみ締めて、苛立ったように体が震えている。
離れた場所でハラハラして見ているムッカが、ジュジュに気がつくと、そっと近寄って耳打ちしてきた。
「森の中でさ、ばったりとマスカートの元カノにでくわしたのさ。マスカートの噂を街で聞いた元カノがマスカートに会いにやってきたってことなんだ。それで今揉めてる」
「マスカートは嬉しくないの?」
「いくら惚れて、忘れられなくても、一度は捨てられてるんだぜ。そんな女がノコノコとやってきて『よりを戻しましょ』なんて言われても、男としては素直に受け入れられるものじゃない。折角失恋の傷も癒えてきてたとこだったのに、マスカートもどうしていいのかわからないのさ」
ジュジュはムッカと一緒に黙って様子を見ていた。
「だから、私が悪かったっていってるじゃないの。あの場合どうしようもなかったのよ」
まるで劇をみているような勢いで、女性が派手に涙を流して訴えている。
「どうしようもなかったって、そんな風には見えなかった。君は突然私の前から姿を消して、私が再び君を見かけた時には、別の男と楽しそうに腕を組んで歩いていたではないか」
「だから何度も言ってるじゃない。あれはどうしようもなかったって」
「その後、私を邪険に扱い、肘鉄でも食らわすように嫌な顔を向けたではないか。あれのどこがどうしようもない姿だったんだ?」
「私は両親に言われるままに、あの男の側に居なければならなかったの。あんな男の事好きでもなんでもなかったわ。だけどそうする事しかできなかったの」
「それならどうして私に相談してくれなかったんだ。一言相談してくれれば、君と一緒に他の街へ逃げる事だってもちろん考えただろうし、私も君の両親を説得できたかもしれない」
「そんなの無理よ。両親を捨てることなどできないし、お金のないあなたの言葉にもあの時の私の両親は耳を傾ける事もなかったわ」
「ほら、結局はお金だ。君もお金が目当てだったんだろ」
「酷いわ! あの男と手を切って、今はこうやってあなたに会いに、こんな危ない森の中にまで危険を承知でやってきたのよ。ねぇ、マスカート、私の気持ちも分かって」
「それじゃなぜ今はその男と手が切れたんだ」
「気がついたのよ。無理に好きでもない男と一緒にいる虚しさに。そして私はどんどん心が病んでいったわ。それで私の両親は心配しだしたの。そこでやっと間違いだったって気がついてくれたの。私の好きなようにしたらいいって。そしたらあなたの思いが私の中で爆発したわ。そんな時にあなたがこの森にいるって聞いて、気がついたら森の中を駆けていたわ」
「そんなの信じられるか」
マスカートは小さく呟き、瞳が揺れていた。
ふと目を逸らした先でジュジュが視界に入った。
元カノとの話し合いに夢中になりすぎて気がつかなかった。
ジュジュのマスカートを見る目が、心配そうに不安に揺れていた。
思わず「ジュジュ……」とマスカートの口からその名が漏れる。
女はそれに敏感に反応した。
突然敵意を持って、女はジュジュに振り返り睨みだした。
マスカートが穏便によりを戻さない原因がジュジュにあると女性独特の敏感なセンサーが働く。
ジュジュの前に向かって、女は突然歩き出した。



